2016年12月25日日曜日

社会人が働きながら公認会計士試験に一発合格するには 

公認会計士を社会人が目指すということについて、社会人である私の実際の合格体験を踏まえて今日のブログでは考えたいと思います。
私は理系修士卒の30代の社会人で、社会人になってから今まで会計や経理とは全く関係ないことを仕事にしてきました。ある時、公認会計士になろうと思い立ちました。なので、公認会計士を目指そうかどうしようか、仕事を続けようかどうしようか、といった社会人特有の悩みも、おれ理系なんだけど、という悩みも、俺結構年取ってるんだけど、という悩みもよく分かり、皆さんのお役に立てるのではないかと思います。
また、学生時代に公認会計士試験の勉強をしていて挫折し社会人になってからリベンジする人がよくいますが、私は違います。完全に初学者です。そこから、1.5年で一発合格しました。本試験の順位は49位でした。きっと、私の勉強の仕方を真似すれば、社会人だけではなく学生の皆さんも上位合格出来るものと考えています。
このブログが皆さんの助けになれば幸いです。 ちょっと長い記事になりますので目次から好きな所に飛んで下さい。
  1. 公認会計士の仕事
    1. 公認会計士の多様な仕事内容
    2. なぜ財務諸表監査が公認会計士の独占業務なのか?
    3. 三大国家資格の1つ
    4. 公認会計士は依頼主ではない人の利益のために働く
    5. 公認会計士が自動的に出来る他の仕事
    6. 公認会計士の年収
    7. コーポレート・ガバナンス強化と公認会計士の役員就任
    8. 公認会計士の転職
    9. 公認会計士の要件
  2. 公認会計士試験の概要
    1. 受験者数と合格率
    2. 受験者の母集団
    3. 短答式と論文式
    4. 科目免除
    5. 科目合格
    6. 各科目の難易度
    7. 公認会計士試験の難易度
    8. 他の会計系資格との難易度比較
  3. 合格までに必要な勉強時間の目安
    1. 一般的に言われている必要時間と本当に必要な時間
  4. 予備校か独学か、通学か通信か?
    1. 費用
    2. 予備校のカリキュラム
    3. 通学と通信と独学
    4. 予備校の比較(特色・評判)
    5. おすすめの予備校
  5. 社会人は働きながら公認会計士試験に合格できる!
    1. 働きながらは無理だという誤った結論の根拠
    2. 公認会計士受験業界がなぜ社会人に冷たいのか?
    3. 働きながら公認会計士試験には合格できる
  6. 仕事を辞めるべきか?
    1. 受験に専念するのはリスクが高い
    2. 監査法人の待遇が本当に良いかは疑問
    3. 監査法人の働き方は一般の事業会社の働き方と異なる
    4. 受験に専念したら合格出来て当たり前
    5. 仕事と公認会計士試験を両立させられる人は、どんな仕事も要領良くこなせるはず
    6. 退職するのはいつでも出来る
  7. 公認会計士は目指す価値があるのか?
    1. 監査法人に転職したい場合
    2. 監査法人に転職しない場合
  8. 働きながら合格するために (社会人が公認会計士試験に合格するための障害とその克服法)
    1. モチベーションの維持と継続性
    2. 勉強時間の確保
    3. 短答が難関
  9. 最後に

公認会計士の仕事

公認会計士の多様な仕事内容

まず、そもそもですが、公認会計士とは何でしょうか?
公認会計士(Certificated Public Accountant)とは、会計の専門家であり財務諸表監査を独占業務としています。また、財務諸表監査以外にもコンサルティング業務や税理業務も行います。組織内会計士として、経理・会計業務に携わったり、CFOとして経営に関与したりもします。

なぜ財務諸表監査が公認会計士の独占業務なのか?

株式や債券に投資する投資家は投資対象がどの程度利益を上げたか、財務基盤は良好かを知りたいものです。この情報を企業は財務諸表の形で投資家に提示しますが、投資家はその情報が虚偽なのではないかという疑問を持ちます。そこで、独立した立場から財務諸表の信頼性を証明する役割を担う(財務諸表監査を行う)人が必要になります。これが公認会計士です。
この財務諸表監査には高度な専門知識と独立性が要求されるため、公認会計士の独占業務となっているのです。 この様に公認会計士がいることで投資情報が信頼できるものになることから、公認会計士は「資本市場の番人」あるいは「資本主義経済のインフラ」と呼ばれています。

三大国家資格の1つ

公認会計士はこの様に重要な役割を担っているため、試験も難しく、医者・弁護士と併せて三大国家資格の1つとされています。
ちなみに、三大○○と言うのは、大抵三番目かどうか微妙な人が言い出すことが多いです。世界三大夜景といわれて日本人は三番目に函館や長崎を挙げたがりますが、世界的にはこういった日本の街は無名だったり。世界三大美女の三番目に小野小町が挙げられますが、小野小町は日本以外では無名だったり。ですので、三大国家資格と言わなければならない点に、公認会計士業界の苦悩が顕れていると見るべきでしょう。
しかし、三大かどうかは置いておくにせよ、公認会計士が立派な資格であることは間違いないです。

公認会計士は依頼主ではない人の利益のために働く

三大国家資格を取得した人はいずれの資格の場合でも「先生」と呼ばれます。ですが、その同じ先生と呼ばれる三大国家資格の中でも公認会計士の特徴は何でしょうか?
弁護士は依頼人から報酬をもらい依頼人のために法廷で戦います。医者は患者から料金を受け取り患者のために治療します。ですが、公認会計士は企業からお金をもらい投資家のために財務諸表監査をします。つまり、依頼人と利益の享受者が異なっている点が特徴的であり、この点にやりがいがあると言えるでしょう。

公認会計士が自動的に出来る他の仕事

公認会計士は税理士や行政書士に無試験で登録できます。つまり、公認会計士は税理士や司法書士の上位互換の資格であると言えます。公認会計士は会計系の最高峰の資格であると言われる所以です。

公認会計士の年収

厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査によれば、公認会計士・税理士の平均年収は718.8万円です。税理士を除くと少し増えると考えられるため、平均年収は800万円程度と推定されます。

コーポレート・ガバナンス強化と公認会計士の役員就任

日本の株式市場は従来閉鎖的でしたが、これを国際化しよう、外国資本の日本への投資を呼び込もう、という動きが昨今活発です。この国際化を達成するためには、外国投資家が日本企業を信頼する必要があります。このため、コーポレート・ガバナンスを強化し馴れ合い経営と決別する必要があります。公認会計士はこのコーポレート・ガバナンスを支える人材としての期待が高く、取締役や監査役の選任に際して考慮されることが今後増えていくでしょう。

公認会計士の転職

監査法人への転職

今は監査法人全入時代ですから、試験に受かれば4大監査法人のどこかは拾ってくれます。

監査法人以外への転職

公認会計士という資格は、会計に関してのスペシャリストである証明になる訳ですから、一般の事業会社への転職に際してもこの資格は役に立つことは自明です。

公認会計士の要件

最後に「公認会計士」と名乗るための要件を一つずつ確認しておきましょう。
  • 公認会計士試験合格
  • 実務補習修了
  • 修了考査
  • 2年間の実務経験
  • 年間10万円以上の年会費を払うこと

公認会計士試験に合格すること

5つの要件の中で群を抜いてハードルが高いです。

実務補習修了

試験合格後、1~3年間補習所に通う必要があります。ただ、3年間で300時間程度なので、公認会計士試験の勉強(2年間で1500時間程度)と比べれば大したことはないでしょう。

修了考査

実務補習所の卒業試験の様なものです。合格率は70%程度と高く楽勝の試験の様に思えますが、その分落ちるととても恥ずかしいです。

2年間の実務経験

会社で2年間経理や予算編成に携わればいいです。

年会費を払うこと

監査法人なら法人が出してくれますが、一般の事業会社であれば出してくれない会社も多く、公認会計士を名乗る上で2番目の障害が年会費の負担であると言えると思います。

公認会計士試験の概要

続いて公認会計士を名乗る上で最大の難関である公認会計士試験の概要を見て行きましょう。

受験者数と合格率

平成28年度の公認会計士試験の受験者数は10,256人で、短答式(一次試験)の合格者数は3138人(合格率30.6%)、論文式(二次試験)で1108人(論文式単体で合格率35.3%、短答式と合わせて10.8%)です。受験する母集団が異なるため合格率だけで単純に比較出来ませんが、合格率だけを見れば最新の第143回簿記1級の10.9%と同程度で、異常に難易度が高い訳ではないです。

受験者の母集団

首都圏の中学歴私大生もしくは中学歴国立大生が多いです。公認会計士試験を受けようとするこの私大生達は頭の回転がやや遅いものの非常に真面目で青春を投げ出す長時間の勉強を苦にしない、という特色を持ちます。こういう方が受けた上での合格率10.8%は結構低い数字と言えそうです。

短答式と論文式

先ほどほのめかした通り、公認会計士試験に合格するにはは短答式試験(一次試験)と論文式試験(二次試験)の2つの試験を突破しなければなりません。
短答式試験はマークシートで毎年12月と翌年の5月に開催され、どちらかに合格すると論文式試験を受験することが出来ます。科目は財務会計論(40%)、管理会計論(20%)、企業法(20%)、監査論(20%)の4科目です(カッコ内の割合は総得点に対して占める割合です)。各科目の合計で約70%を取る必要があります。(受験生の出来によって多少の上下はありますが)絶対評価と言っていいでしょう。ただし、足切りがあり、40%を下回る科目が1つでもあるとダメなことがあります。
論文式試験は記述式で毎年8月のお盆明けに開催されます。科目は会計学(43%)、企業法(14%)、監査論(14%)、租税法(14%)、選択科目(14%)です。会計学は事実上財務会計論と管理会計論の2科目と考えて良いため、全部で6科目です。選択科目は経営学、経済学、民法、統計学から選択です。(選択科目の選び方という記事も書いてますのでご覧下さい。)論文式試験は偏差値52点以上の人が合格する相対試験ですが、偏差値40点を下回る科目が1つでもあるとダメです。
ご覧の様に科目数が多く大変です。

科目免除

以下に列挙する一部の方は受験科目を減らせますが、該当する人は少ないと思います。また、そもそも以下に該当するような人は科目免除してもらわずに、その科目を受けて他の受験生に差を付けた方がいいと思います。
  • 大学で商学や法学や経済学の教授や准教授をやっているか、博士号を持っている
  • 司法試験合格者である
  • 税理士になる資格を有するか、税理士で科目合格している
  • 不動産鑑定士試験に合格している
  • MBAを持っている
  • 会計または監査に関する業務に7年以上従事している

科目合格

税理士試験と同様科目合格制度があり、各科目で公認会計士監査審査会が決めた点以上取れば科目合格出来ます(平成28年だと偏差値55.7点でした。)が、税理士との根本的な違いがあります。税理士試験では科目合格が永遠に有効なのでゆっくり何年でもかけて勉強が出来ますが、公認会計士試験の科目合格は2年間しか有効ではないのでその短期間に全科目を仕上げる必要があります。

各科目の難易度

各科目で出てくる問題1つ1つはそこまで難しくはありません。テキストを見れば答えが載っている様な問題がほとんどです。ですが、試験範囲が広いため、試験会場で正しく答えるのは必ずしも簡単ではありません。

公認会計士試験の難易度

以上をまとめると、公認会計士試験は難しい訳ではないが科目数が多いため上手に要領良く勉強する必要があり、受験生の総合力が試される大変な試験だと言えます。

他の会計系資格試験との難易度比較

公認会計士は税理士と行政書士になれると前述しましたが、試験自体の難易度を同じ会計系資格で比較しておきましょう。

税理士

公認会計士の次に難しい会計系の資格です。受験者数は延べ70,000人程度、合格率は10~20%程度です。ただし、時間的な制約のない科目合格制度があるので税理士資格を取ること自体は公認会計士取得と比べると簡単でしょう。

簿記検定

一番お手軽な会計系の入門に位置付けられる資格です。簿記1級だと受験者数が年間で延べ20,000人程度、合格率が10%程度です。
簿記はお手軽ですがなめてると意外と難しいです。単純に仕訳のややこしさで評価するなら、公認会計士試験や税理士試験よりも簿記1級の方が難しいかも知れません。ただし、試験範囲が狭く試験時間も長めであることから、会計系資格の中では取得が一番容易です。

合格までに必要な勉強時間の目安

一般的に言われている必要時間と本当に必要な時間

一般的に言われている必要時間

公認会計士試験に合格するためには4000時間必要だと一般的には言われています。毎日8時間を睡眠や食事などで使うと考えると、それ以外の時間は1年で5840時間です。社会人の正社員だと、仮に残業が0時間だとしても、1800~1960時間は働きます。もし本当に4000時間必要なら、2年で合格するためには1年に2000時間勉強する必要がありますので、会社での労働時間とほぼ同程度の時間を勉強に費やす必要があり、結構な負担だと言えるでしょう。

本当に必要な時間

ですが、私は仕事で会計に関わっていないにも関わらず、1.5年で合格しました。その実体験から、効率良く勉強すれば1500時間程度(予備校のカリキュラム以外で600時間程度)勉強すれば2桁順位で合格できると考えています。会社で経理業務をやっていたりすれば、もっと少ない勉強時間で上位合格できるでしょう。下位合格でよければ、勉強時間を更に削れます。
これなら勉強期間2年を前提とすると、平日1時間、土日祝日4時間の勉強で十分です。これ位なら、社会人でも、残業があっても、家族があってもなんとかなりそうではないでしょうか?
詳しくは公認会計士試験合格にどの程度の勉強時間が必要なのか?を読んで下さい。 また、合格体験記という程しっかりしたものではありませんが、公認会計士一発合格までの時間の使い方と成績推移に私の実際の時間の使い方を記載させて頂いております。

予備校か独学か、通学か通信か?

公認会計士試験の勉強をするには、予備校に通うか通信か独学かの3通りの方法があります。

費用

選んだ予備校と何年コースかにもよりますが予備校に通った場合は、受講料で40~70万円、参考書・教材代で1~5万円程度だと思います。独学の場合は、参考書の入手で10万円、問題集の入手や模試の受験で10~15万円程度だと思います。つまり、独学の場合は30~50万円程度安く済ませることが出来ます。

予備校のカリキュラム

多くの予備校では1~2年コースを準備していますが、学生を含めて1.5~2年コースで勉強することが一般的です。授業時間は600~900時間です。

通学と通信と独学

通学のメリット

  • 学生の受験生のレベルが低いことが確認できる
    • 公認会計士試験のテキストは難しいです。通信や独学だとこれを全部理解するのか・・・と思ってげんなりすると思います。でも、予備校に通うと、みんなあんまり理解できておらず、ただ丸暗記している受験生が多いことに気付くはずです。それに気付くと安心出来ます。
  • やる気がなくても授業時間に勉強できる
    • 私の様にモチベーションが低い受験生は、予備校で授業がないと勉強しません。そういう人は取り敢えず授業だけでも受けておけば、授業時間は勉強したことになります。
  • どの論点が重要かがよく分かる
    • 独学だと参考書のどこが重要かがよく分からないかも知れません。ですが、予備校はその独自の研究に基づいて重要論点を強調しながら授業してくれます。

通信のメリット

  • 残業があってもなんとかなる
    • 自分のペースで勉強できるというのはメリットです。一方で、モチベーションの高い人でないと勉強のペースが乱れる可能性があります。

独学のメリット

  • お金がかからない
    • 教材代を考えるとそこまで安くなっている訳ではありませんが、初期投資額をある程度抑えられていることは事実だと思います。
  • 残業があってもなんとかなる
    • 通信と同じですね。

予備校比較(特色・評判)

大原

  • 受講料 60~75万円
  • 校舎数 39校
  • 合格実績(2015年) 381人/受講生 推計2200人
  • 合格実績(2016年) 406人/受講生 推計2200人
  • 予備校最大手の1つ
    • 最大手であるため、講師の人数も多く試験委員の研究も行きとどいています。そのためテキストの質は高いです。
    • 後述しますが、素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、出来不出来が割れる問題を解いた人よりみんなが出来る問題を解いた人の方が合格可能性高くなります。ということは、受験生の大多数と同じ教材を使って勉強している方が有利です。
  • 講師は必ずしも公認会計士試験合格者とは限らない
    • 公認会計士試験に合格していなくても教えている科目に秀でていれば問題ないという考え方の様です。それはそれで一理あります。
  • 講師が校舎に常駐している
    • 公認会計士でない人が講師をしているため、授業をしていない時に講師が校舎で質問を受けることができます。

TAC

  • 受講料 65~80万円
  • 校舎数 : 35校
  • 2015年合格実績 : 372人/受講生 約2,000人
  • 予備校最大手の1つ
    • 最大手の1つであるため、講師の人数も多く試験委員の研究も行きとどいています。そのためテキストの質は高いです。
    • 後述しますが、素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、出来不出来が割れる問題を解いた人よりみんなが出来る問題を解いた人の方が合格可能性高くなります。ということは、受験生の大多数と同じ教材を使って勉強している方が有利です。
  • 講師が基本的に公認会計士試験合格者である
    • 公認会計士試験に合格した人が講師をしているので、その科目だけではなく全体的な勉強の仕方についても相談できるでしょう。また、公認会計士の実務の話も雑談で聞けるので、合格後のイメージが湧くと思います。
  • 講師が校舎に常駐していない
    • 公認会計士の人が講師をしているため、授業をしていない時には講師の方は別のお仕事をされており、校舎で質問ができる時間が限られています。

東京CPA会計学院

  • 受講料 80万円程度
  • 校舎数 : 2校
  • 合格実績(2016年) : 95人/受講生 推計400人
    • ホームページをみると、合格率は47.3% (95人/201人)と一見高そうですが、この一見高そうな合格率には裏があります。分母が全受講生ではなく、カリキュラムの出席率が高かった受講生のみになっています。短答までのカリキュラムには頑張って出席していたけど短答がダメだった62人や、出席率が低い受講生150人程度が分母に含まれていないと推定すると、受講生は400人程度で合格率は20%程度だと思います。
  • 慶應義塾生御用達の公認会計士予備校。慶応義塾生のために存在していると言ってもいいでしょう。慶應義塾生でなければおすすめしません。
  • 講師が基本的に公認会計士試験合格者である
    • 公認会計士試験に合格した人が講師をしているので、その科目だけではなく全体的な勉強の仕方についても相談できるでしょう。

LEC

  • 受講料 60万円
  • 校舎数 : 33校
  • 合格実績 : 非公表 (推計 30人程度?)
    • 合格実績非公表です。公表できないということは、大原、TAC、東京CPAより1ランク落ちると見ていいでしょう。また、2016年の合格者1100人の内900人程は既に大原、TAC、東京CPAで占められており、残りが200人程であることを考えると合格者数は30人程度と推計します。
  • 短答式合格前と合格後にカリキュラムが分けられている
    • 短答でのギブアウェイが発生するため、勉強の効率という点を考えるとこれは効率悪いです。
    • 一方で、カリキュラムが分けられているということは、最初に払う授業料が安いということでここは魅力です。
  • 入門期と上級期で講師が変わる
    • 異なる教え方に触れられるという意味でこれはいい点だと思います。
  • 短答式の解答速報が間違っていたということがよくあるそうです。

クレアール

  • 受講料 40~65万円
  • 校舎数 : 1校
  • 合格実績 : 非公表 (推計 15人程度)
    • 合格実績非公表です。公表できないということは、大原、TAC、東京CPAより1ランク落ちると見ていいでしょう。ホームページに合格祝賀会の写真が載っていますが、結構こじんまりしており、合格者の少なさを伺い知ることが出来ます。
  • 非常識合格法とスピーチというなんだか少し怪しげなことを唱えていますが、ここに通った人の話を聞いたことがないのでどんなことをしているかよく分からないです。
  • 受講料がとにかく安い

おすすめの予備校

それぞれの予備校の特色を見てきました。ここで、どの予備校を選ぶべきかのポイントを書き並べます。参考にして下さい。

生活圏に近い予備校

学生であれ社会人であれ生活圏に近い予備校は便利ですが、特に社会人は生活圏に近い場所にある予備校を選ぶべきです。後で述べますが、社会人にとって最大の難関は継続性です。予備校が家から遠いと、それだけでサボりたくなります。なので、生活圏に近い予備校を選びましょう。

大手の予備校(大原かTAC)

素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、周りが出来る論点は出来る様にしておくというのが結構重要です。なので大手の予備校を選んで周りと同じ教材を使うというのは効果的です。
また、大手であるということは、教材や指導内容の決定も会議を通じて決定しているため、指導内容に偏りが生じにくいということです。これもいい点だと思います。
大原とTACで迷う時は、先生に質問したいなら大原、実際に試験に受かった人に習いたいならTACと決めればいいでしょう。

短答式用と論文式用でカリキュラムが分かれていない学校(大原かTAC)

短答式の成績は(本人を含めて)誰にも分かりません。である以上、短答は合格できさえすればそれで十分ですし、それ以上の勉強は無駄です。その意味において、短答式と論文式でカリキュラムが分かれていない予備校がいいでしょう。

安く済ませたいならクレアールかLEC

どうしても安く済ませたいなら、クレアールかLECにするといいでしょう。

パンフレットや無料相談会が気に入った予備校

色々書きました。書きましたが、結局最後はあなたに合うかどうかです。パンフレットの取り寄せや相談会への参加は無料です。そこで気に入った学校を選ぶのがいいと思います。

社会人は働きながら公認会計士試験に合格出来る!

働きながらは無理だという誤った結論の根拠

公認会計士がどういうもので、試験の難しさがどの程度かが分かったところで、社会人の皆さんは次の疑問を持つはずです。
 「公認会計士試験には働きながら合格出来るのか?」
この質問に対しては以下の様な理由を並べて否定的な見解を述べる人が多いです。
  • 働きながらでは勉強時間を確保できない
  • 社会人になって年を取ると記憶力が低下する
  • 背水の陣を敷かない社会人は本気度が低い
予備校で受講相談すると、社会人であると言うだけで受付の人が小バカにすることすらあります。
でも、本当に社会人に公認会計士試験合格は無理なのでしょうか?

公認会計士受験業界がなぜ社会人に冷たいのか?

それは、社会人には公認会計士は無理、と言うのが、全員が望む答えだからです。
  • 勤勉な学生
    • 必死で勉強しているのに、社会人が片手間で勉強して合格するとプライドが傷つく
  • 親に言われて予備校に通っているけれど公認会計士に興味のない学生
    • 社会人が片手間で勉強して合格すると親に言い訳出来ない
  • 社会人
    • 社会人は大変だね、と言ってもらうことで落ちた時、あるいは受験を諦める時の言い訳になる
  • 予備校
    • 20代の講師にとって年上の受講生は教えにくい
  • 公認会計士試験合格者
    • 社会人で合格できるとなると自分達の資格の価値が下がる気がする
5者の利害関係が完全に合致しているから、働きながら公認会計士試験には合格できない、と今までされてきたのです。

働きながら公認会計士試験には合格できる

会計に触れたこともなかった30代の私が勉強時間が圧倒的に少なくても上位合格したことが、社会人受験が難しいという見解が誤っていることを証明しています。時間が足りなくても勉強の仕方次第で克服できます。社会人になると記憶力が低下するのではなく、集中して勉強できなくなるだけです。集中して勉強すれば何とでもなります。本気度が足りない人は学生でも落ちます。社会人であると言うことは言い訳にはなりません。

仕事を辞めるべきか

「働きながら公認会計士試験に合格できる」と言われても、会社を辞めて受験専念するかどうかを悩む社会人の方もいるかも知れませんが、働きながら受験することを以下の理由でおすすめします。

受験に専念するのはリスクが高い

リスクと言うのは、公認会計士試験に落ちるリスクではありません。公認会計士業界が変化するリスクです。
公認会計士業界の浮沈は完全に一般の事業会社の業績に依存しています。景気が良くベンチャー企業のIPOもバンバン通っている時であれば、公認会計士業界は仕事が多いでしょうが、景気が悪くなれば仕事は減るでしょう。そうすれば当然監査法人の採用枠も減るはずです。
一般の事業会社への転職であれば、転職すると決めてから転職が決まるまでに早ければ1ヶ月もかからないでしょう。その間に景気が悪くなる確率はそこまで高くないかもしれません。それでも、「俺、転職活動に専念するから会社辞めるわ」とはならないはずです。
公認会計士試験の場合、勉強を始めて、試験を受けて、数か月後結果が出て、監査法人の内定をもらうまでに1~2年以上の時間がかかります。一般の転職活動よりも期間が長くリスクが高いのに、「俺、公認会計士試験勉強に専念するから会社辞めるわ」となるのはおかしいと思います。

監査法人の待遇が本当に良いかは疑問

公認会計士の年収は高い、と言われていますが、それは本当でしょうか?
厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査によれば、公認会計士・税理士の平均年収は718.8万円です。確かに高い方でしょうが、一流上場企業であればこの程度を出してくれる会社はそれなりにあります。例えば、トヨタ自動車の平均年収は800~900万円です。そういう会社への転職と天秤にかけた時に、それでも監査法人が本当に良いかは難しい質問だと思います。

監査法人の働き方は一般の事業会社の働き方と異なる

一般の事業会社にお勤めの皆さんは、多分、長時間労働することが素晴らしいとは考えていないでしょう。生産性の高い効率の良い仕事の仕方についていつも考えているはずです。
しかし、監査法人は、長く働けば働くほど素晴らしいという昭和な(ややブラックな)考え方が支配しています。そのやや時代錯誤な考え方に抵抗がある場合、監査法人勤務は合わない可能性があります。

受験に専念したら合格出来て当たり前

仕事と公認会計士試験を両立させられる人は、どんな仕事も要領よくこなせるはず。

会社を辞めれば時間が無尽蔵にあるので、公認会計士試験は誰でも受かるでしょう。ですが、仕事と公認会計士試験を両立させるためには頭を使わなければなりません。それが出来るということそのものに価値があると私は思います。

退職するのはいつでも出来る

どうしても監査法人に転職したいのであれば、そして受験専念しないと合格できそうにないのであれば、どんなに私が止めても会社を辞めるはずです。そもそもこのページを読みには来ないでしょう。このブログを読んで悩んでいるのであれば、受験専念する必要はまだないのです。まずは仕事との両立を目指して、会社を辞めるかどうかはその後で考えればいいのです。

公認会計士は目指す価値があるか

公認会計士の仕事・試験制度の概要が分かり、働きながら合格できるということを踏まえた上で、公認会計士という資格は目指す価値があるのでしょうか?
あると私は思います。

監査法人に転職したい場合

説明不要ですね。監査法人に就職するには公認会計士試験合格が必須です。

監査法人に転職しない場合

監査法人に入って監査をしたいという人にとってはもちろんですが、そうではなく事業会社で生きていくつもりの人にとっても、以下の理由で公認会計士という資格は役に立つと思います。

公認会計士の資格はエルメスの鞄である

公認会計士という資格は、会計・監査について会社の中での第一人者になれる素養があることの客観的な証明になります。
エルメスの鞄を持っていることがお金持ちであることを示唆する様なものです。この資格を活かして、将来的にCFOとして働くことも出来るかも知れません。

コーポレート・ガバナンス強化という時代の流れにふさわしい資格である

公認会計士はコーポレート・ガバナンスを支える資格なので時代の流れに合致しており、役員への就任に役立つかもしれません。

公認会計士の資格がセーフティーネットになる

今監査法人に転職するつもりがなくても、公認会計士という資格はセーフティーネットとして機能しますので、リスクの高い仕事にチャレンジしやすくなるでしょう。

公認会計士資格取得に際して出会った新しい考え方や人脈は宝物になる

公認会計士資格取得に際して出会った人達は、みんな日本の会計業界を支えている人達です。そういう人との出会いは人生を豊かにしてくれるでしょう。

働きながら合格するために (社会人が公認会計士試験に合格するための障害とその克服法)

モチベーションの維持と継続性

障害1 モチベーションの維持と継続性

社会人が公認会計士試験の勉強をする上でモチベーションを維持するのは難しいです。
  • 既に収入があるので合格しないでも生きていける
  • 学友が少なく勉強が孤独になる
モチベーションが維持できない結果として、継続性が保てません。
しかし、これは問題です。
マラソンを走ったことがある方はご存じだと思います。走り続けている限り、どんなに遅くてもそれなりのペースでゴールまでたどり着けます。 しかし、25km地点を過ぎてくると歩きたくなります。立ち止まりたくなります。「あの電柱まで、電柱までだけ歩こう。10秒だけ、10秒だけ立ち止まろう。」そう思ったが最後、再び走り出すにはそれまで以上の精神力が必要となり、ゴールまでたどり着けなくなります。
勉強もそれと同じことです。継続性を失うと勉強も上手く行きません。
どんなにゆっくりでもいいんです。毎週少しずつ勉強することが大切です。

対策

  • 予備校で学友を作る。
    • 学友を作ると、その学友の手前恥ずかしい成績が取れなくなりますので、モチベーションの維持に役立ちます。
  • どんなにサボっても授業だけは出席or視聴する。
    • 毎週少しずつ勉強することが大切です。

勉強時間の確保

障害2 勉強時間の確保

結婚していれば家事育児もやらなければなりません。試験直前に緊急の仕事で残業を命じられることもあるでしょう。社会人であると言うことは、勉強に専念できないと言うことです。

対策

  • 効率の良い勉強を意識する (時間が確保できないなら効率を上げるしかありません)
    • 理解を重視することで反復回数を減らす
      • 反復練習は、失敗体験を通じて記憶を体に刻み込むのに有効ですが、社会人に失敗体験を積み重ねている時間はありません。しっかり理解することで反復回数を減らしましょう。
    • 重要論点を重視する
      • 重要論点は、ただ頻出するだけではありません。周りのライバルは正解してしまいます。つまり、重要論点を落とすと、みんなが取れる問題を落とすことになります。
        みんなが正解する問題を落としてはいけない、とよく言いますが、これには以下の3つの理由があります。なので、重要論点は重視しなければならないのです。
        • 頻出である
        • 覚え易い論点である
        • 偏差値に影響する
          • 受験生によって出来がバラバラの問題を落としても、偏差値はそんなに低くなりません。しかし、みんなが取れる問題を落とすと偏差値は激減します。つまり、偏差値で合否が決まる公認会計士試験において、みんなが取れる問題を落とすことは致命傷になります。
    • 人生経験と結び付けて勉強する
      • 社会人の皆さんには豊富な人生経験があるはずです。なので、公認会計士試験の勉強を実際の社会経験、過去の経済ニュースと結び付けてできるはずです。そうすることで、理解が深くなるでしょう。
  • 家族とよく相談する
    • 勉強しようと思っている休みの日に、子供から「遊んで」と言われると勉強できません。家族の理解・協力がなくては、公認会計士には合格できませんので、家族とよく相談して下さい。

短答が難関

障害3 短答が難関

勉強時間の観点からも確かに短答は難しいです。ただ、これは効率のいい勉強をすればなんとかなります。社会人にとって短答が難関となるのは別の理由が主になると思います。
社会人の仕事は辛いです。ですが、社会人の皆さんが事業会社でやる仕事はいずれも結果が目に見えます。実社会に役立っています。営業の皆さんが頑張れば、商品が店頭に並びます。予算編成を担当している皆さんが頑張れば、来年の予算配分がより効率的になり会社の収益が良くなるでしょう。技術畑の皆さんが頑張れば、より良い品質の製品がより安く店頭に並びます。この意味において、社会人の仕事は辛いですが楽しいです。
しかし、短答式の勉強はつまらないです。無意味です。(勉強の仕方にもよりますが、)ただ覚えるだけの作業になり易いです。価値のある仕事をすることに慣れた社会人にとって、短答の勉強は苦痛です。

対策

  • 実体験や新聞の記事と絡めて短答の勉強をする
    • こうすることで効率の良い勉強にも役立ちますし、つまらない暗記作業がちょっとだけ楽しくなります。
  • 短答の勉強は重視し過ぎない
    • 論文式試験の場合は成績が送られてきますが、短答でいい成績だったかどうかは(本人を含めて)誰にも分かりません。自己採点をしたところで、その採点結果が合っている保証はないです。分かるのは唯一合格しているかどうかです。であれば、短答式で全問正解することは無駄です。短答式試験は合格最低点を取ればいいんです。
  • 割り切って考える
    • どうしても興味が持てない場合は、短答式の勉強は修行みたいなものだと割り切って考えて勉強するしかないかもしれません。

最後に

この記事を読んで公認会計士が少し魅力的に思えたけれども予備校の受講料が高く目指す踏ん切りがつかない方も多いと思います。その気持ちはよく分かります。
そういう方は簿記2級の試験を受けてみて下さい。簿記は会計系資格の入門と位置付けられる資格です。簿記の試験はテキスト代も安いですし、必要勉強時間も短いです。独学でもなんとかなるレベルです。
簿記の勉強を通じてそれなりに会計のことを理解できそうだと感じられたら、それから公認会計士試験を目指すのでも遅くはありません。
簿記がなんとかなれば公認会計士試験に合格することはたやすいと思います。

この記事を読んで公認会計士試験を受けてみたいと思った方は、このサイトからじゃなくてgoogleから検索してで構いませんので予備校の資料請求をすることをおすすめします。
公認会計士の資格がなくても、社会人の皆さんは生きていけます。ですが、公認会計士の資格があることで新しい人生が拓けるはずです。皆様の合格をお祈りしております。

2016年12月24日土曜日

選択科目別合格率 (独自集計)

公認会計士試験の選択科目の選び方については「公認会計士試験 選択科目の選び方」という記事で詳細記していますが、で、結局どの科目が合格率高いの?という疑問を持つ方も多いと思います。しかし、選択科目別の合格率は公開されていません。
ですが、公認会計士監査審査会が公表する情報から選択科目別の合格率を推計することが出来ます。そこで、私が独自集計した選択科目別合格率を公開します。上記選択科目の選び方の記事と併せて参考にしてみて下さい。
なお、昨年以前に短答式を既に合格した人を母集団とした場合、科目合格の数の影響で比較が公平でなくなります。また、本ブログでは読者の皆様に一発合格してほしいと考えることから、母集団は今年短答式を受験した人としています。
  • 選択科目別合格率集計の方法
    • 受験番号が選択科目で分けられていることを利用する
    • 公認会計士監査審査会が公表する合格者の受験番号を利用する
    • 選択科目の科目合格者の受験番号でクロスチェックする
選択科目別合格率 (平成28年)
選択科目受験者割合論文式試験合格率
第1回短答式合格者第2回短答式合格者第1回/第2回合計
経営学80%53%22%40%
経済学7%38%13%25%
民法7%53%0%23%
統計学6%68%33%51%
ご覧のように統計学選択者の合格率の高さが際立っています。また、経済学や民法は選択科目の勉強が主要科目の勉強の障害となり合格率を押し下げていることが見て取れます。

2016年12月11日日曜日

公認会計士試験 選択科目の選び方

公認会計士試験受験において悩むことの1つは選択科目の選び方です。まだ何も勉強を始めていない予備校の申し込みをする時点で選択科目を決めますが、これは顔写真だけで結婚相手を選ぶ様なもので結構悩ましいです。 ただ、予備校に入った後でも選択科目はまだ変えられます。選択科目は短答式の出願願書に記載するため、12月短答の人は8月までに、5月短答の人は2月までに選択科目を決めればいいです。と言っても、論文式試験の大分前に戦いの条件を決めなければならない訳で、悩ましいのはやはり変わりませんね。そこで、今日は選択科目それぞれの特徴・選び方を考えてみたいと思います。
ちなみに私は最初は経営学選択のつもりでしたが、短答式の願書出願時に統計学選択に変更しました。結果的には統計学でいい成績を取ったので、良い選択だったと言えると思います。
  1. 論文式試験の特徴
  2. 科目免除について
  3. 各科目の特徴とタイプ別おすすめの科目
科目必要勉強時間 受験者数 特徴向いている人
経営学100~150時間 多い 数学不要
暗記量が多い
学問というより社会常識
試験範囲が曖昧
試験が運次第(リスク高)
過剰適合のリスク
受験者数が多い
彼女が作れるかも
数学が苦手な人
社会常識がある人
流され易い人
根拠なく安心したい人
占いを信じる人
運命の出会いを探している人
民法350時間 非常に少ない 数学不要
暗記量が非常に多い
試験範囲が膨大
授業が早期から始まる
社会で活きる基礎知識
受験生が少ない
法律科目に自信があるライバル
科目で大きな差が付かない
数学が苦手な人
暗記が得意な人
法律科目に馴染みがある人
モチベーションがある人
精神的に強い人
裁判中の人
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人
経済学300時間 少ない 数学必要
暗記量がやや多い
試験範囲が膨大
授業が早期から始まる
実社会で役に立たない
大学の必修科目の勉強には役立つ
受験生が少ない
他の受験生はモチベーションが高い
数学が得意な人
モチベーションがある人
精神的に強い人
実社会での実用性を重視しない人
大学の勉強に活かしたい人
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人
統計学60時間 少ない 数学不要
小学6年生レベルの「算数」は必要
頭の柔軟さが必要
試験範囲が極めて狭い
覚えることが少ない
論文式試験の合格率が一番高い
統計的思考力が身に付く
受験生が少ない
楽をしたい人がライバル
数学が苦手な人
「算数」が苦手ではなかった人
頭が柔らかい人
管理会計論を無勉強でそれなりの点取れる人
他の科目に時間を割きたい人
楽して合格したい人
賭け事が好きな人(=確率について考えるのが好きな人)
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人

論文式試験の特徴

論文式試験の合否は素点ではなく偏差値で決まる

例えば、大学1年生が高校3年生に混じって九九の問題を解いて100点だった場合と、小学2年生に混じって微分・積分の問題を解いて、70点だった場合を考えましょう。九九の点数の方が素点は30点高いですが、偏差値は微分・積分の点数の方が高いです。なぜなら、九九の問題は周りも出来がいいのに対し、微分・積分の方は周りの出来が悪いためです。
この様に偏差値は受験生全体と比較した相対的な出来を表します。そして公認会計士試験において合否は偏差値で決まります。噛み砕いて説明すると、同じ科目を受験して、同じ採点官に採点される人の中で相対的にいい出来であることが重要だということです。と言うことは、過去問をパラパラと眺めて簡単そうな方を選ぶというアプローチは適切ではないと言えます。なぜなら、簡単で解けそうな問題は他の受験生もいい点を取るので偏差値が伸びないからです。

出来不出来が分かれる科目で悪い点を取っても、出来不出来が分かれない科目でちょっと悪い点を取っても合格確率は同じ

民法、経済学は出来る人は出来て大きく差がつくから経営学選択にしなさい、という人は結構います。ですが、そういう人は、公認会計士試験のことを何も理解していません。公認会計士試験は、素点ではなく偏差値で決まります。そして出来不出来が分かれる科目で悪い点を取っても、出来不出来が分かれない科目でちょっと悪い点を取っても同じ偏差値になります。つまり、大きく差がつく科目で大きく差をつけられるても不利にはなりません。小さな差がつく科目で小さく差がつけられる場合と同じ点になるからです。

科目免除について

  • 商学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 経営学免除
  • 法学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 民法免除
  • 経済学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 経済学免除
  • 司法試験合格者 : 民法免除
  • 不動産鑑定士試験合格者 : 民法または経済学免除
上記に該当する極一部の方は、該当する試験科目を選択することで、選択科目を科目免除することができますが、そういう人は少ないと思いますし、免除できるほどその科目が得意ならあえて免除せずその科目を受験し、貯金を作るのも手だと思います。

各科目の特徴とタイプ別おすすめの科目

色んなブログを見ると、皆さん取りあえず経営学をおすすめしているみたいです。民法、経済学は大変、統計学は数学の知識が必要・・・とか言って。ですが、統計学でいい成績を取った私が断言します。そんな適当な理由で経営学を選ぶのはもったいないです。
統計学は本来数学が必要な学問なはずですが、公認会計士試験で統計学のいい成績を取るのに数学の知識は全く使いません。 ジャガイモの栽培法を知らなくてもカレーが作れる様に、数学の知識がなくても統計学の問題は解けます。
なので、選択科目は経営学と決めてかからないで下さい。決める前にせめてこの記事を読んで下さい。どの科目も問題自体の難易度は同じなので、この記事を読んだ後に好きな科目を選んで下さい。
では、各科目の特徴と向いている人を見てみましょう。

経営学

経営学とは?

経営学は企業や企業経営について、経営管理と財務管理の両面から取り上げる科目です。経営管理の分野では、経営戦略、経営計画、経営組織、動機づけ・リーダーシップ・キャリア、コーポレート・ガバナンスといったキーワードに関連する分野が出題範囲となります。財務管理の分野では、資本調達形態、投資決定、資本コスト、資本構成、ペイアウト政策、運転資本管理、企業評価と財務分析、資産選択と資本市場、デリバティブとリスク管理といったキーワードに関連する分野が出題範囲となります。
時事的な問題が取り上げられることも多く、企業の最新動向にも注意する必要があります。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安200~250時間
私が推定する必要勉強時間の目安学生 150時間
社会人 100時間

経営学の特徴

数学が不要である

経営学は計算量も少なく数学が不要な科目と言えるでしょう。

暗記量が多い

経営学は暗記科目です。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に多少の影響が出るでしょう。

学問というより社会常識が問われる

経営学というか社会常識みたいな問題が結構あります。解けないのは社会人としてまずい様な問題が多い、と言えるでしょう。その意味で、学生の方は勉強する価値がありますし、社会人の方は勉強時間が節約できるでしょう。

試験範囲がよく分からない

社会常識が問われるということは試験範囲が膨大である(=よく分からない)と言うことです。従って勉強範囲が絞りにくくどんなに勉強しても全ての論点を網羅することが出来ません。満点を取ることは難しいでしょう。

予備校で勉強したことが試験に出るかは運

経営学の出題範囲は試験委員の先生の主観の影響を受けます。「ここを勉強するべき」と判断した部分を予備校がテキストにしてくれますが、そのテキストにする範囲は予備校によって違い、従ってアタリハズレで他の予備校の生徒と差がついてしまいます。そういうリスクのある科目です。

予備校で勉強しすぎると過剰適合が起きてしまう

予備校がテキストにした範囲は、試験範囲ではありません。予備校が試験範囲だと思い込んでいる部分がテキストになっているだけです。なので、予備校のテキストで勉強しすぎると過剰適合が起きてしまいます。試験範囲がファジーな経営学ではこのリスクは大きいでしょう。

多くの受験生が選択する

多くの受験生がなんとなく経営学を選択します。と言うことは、学習のペースが掴み易い(気がする)という利点があります。「気がする」と書いたのは、試験範囲がよく分からない以上、例え周りと同じペースで勉強していても、学習のペースが本当に正しいのかはよく分からないからです。でも、気がするのは精神衛生上いいことです。

勉強友達・勉強彼女が作れる・・・かも

多くの受験生が選択すると言うことは、友達と勉強の進捗について楽しいお話が出来るということです。その友達が異性なら、運命の出会いになるかも知れません。運命の出会いは冗談にしても、他の科目を選択した人は、周りに同じ科目を選択した人がおらず孤独な勉強が必要になることは確かです。なので、周りに流され易い人、根拠なくなんとなく安心したい人は経営学を選ぶべきです。

向いている人

数学が苦手な人

数学的要素を余り含まない科目なので、数学な苦手な人でも大丈夫です。

社会常識がある人

社会常識的な要素を多分に含む科目なので、社会常識がある人に向いている科目です。

周りに流され易い人

根拠なくなんとなく安心したい人

朝の情報番組の占いを信じる人

周りの受験生もこの科目を選択するので、なんとなく安心な気がします。その安心感は、例えるなら朝の情報番組で自分の星座が1位だからいいことが起きると考えるのと同じ位根拠がない安心感ですが、占いを信じている人ならその安心感でも精神安定に役立つかもしれません。

合格より運命の出会いを探している人

受験生が多いので、教室で出会いのチャンスはあるでしょう。

民法

民法とは?

民法は財産法の分野と家族法の分野に分けることが出来ますが、財産法の分野が出題されます。具体的には、物を所有するということや売買契約、損害賠償に関連した問題が出ます。家族法の側は余り出ません。
ちなみに私の年は民法大改正がある影響で選択者が少なかったです。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安450時間
私が推定する必要勉強時間の目安350時間

民法の特徴

数学不要

法律科目なのでもちろん数学不要ですね。

暗記量が非常に多い

暗記量が多いです。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に影響が出るでしょう。

試験範囲が膨大である

いくら財産法関係の典型論点しか出ないとは言っても、何せあの民法をやる訳ですから、企業法を勉強したのと同じ位の労力は必要になると考えるべきでしょう。

予備校の授業が早期から始まる

試験範囲が膨大であるため、論文式試験の1年以上前、周りのみんなが短答式を視野に各科目の基礎固めをしている頃から授業がみっちりあります。これは結構精神的に負担になると思います。

社会を生き抜く基礎知識が身に付く

友達に貸したお金が返してもらえない時、あなたならどうしますか?民法を勉強しておけば、そういう時何をしなければならないかがなんとなく分かるでしょう。そういう意味で勉強するべき科目です。

受験生が少ない

経済学・統計学と同様、民法選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

他の受験生は大穴狙いか法律科目に余程の自信がある人である

経営学に比べて勉強時間が多く先輩情報の少ない民法を選択したいと思うのはどんな人でしょうか?それは法律科目に自信があるか、申し込んだ時はやる気があったか、大穴狙いの人です。そうすると、他の受験生がそこそこ出来ると考えられるため、そこそこ勉強する必要がありそうです。

科目で大きな差が付かない

受験生が極端に少ないため、あなたの得点で母集団が歪みます。なので、科目で大きな差が付かず、出来が悪くても他の科目で挽回できるチャンスがあります。
・・・と言われてもピンと来ませんよね。
具体的に考えてみましょう。あなた以外の受験生の得点の分布が下表の通りであったとしましょう。あなたが60点を取ってしまってもあなた以外の受験生が30人の場合偏差値は40.2点で足切りになりませんが、受験生が90人の場合偏差値は39.8点で足切りに遭います。受験生が少ない科目であなたが悪い点を取ってしまうと平均点が押し下げられるので、偏差値がそこまで落ちないのです。
点数得点者の割合
50点6.7%
60点20.0%
70点46.6%
80点20.0%
90点6.7%
あなた以外の受験者数30人の場合90人の場合
あなたの偏差値40.2点39.8点
もちろん、受験者数が多いからと言ってと採点官の1人あたりの採点者数が多いとは限りませんが、概ねこの認識でいいと思います。

向いている人

数学が苦手な人

法律科目なので数学はいりませんね。

暗記が得意な人

暗記量が多いので、暗記を苦にしない人でないとつらいです。

法律科目に馴染みがある人

法律科目に馴染みがある人だと、暗記量が少しは減るかもしれません。

モチベーションがある人

周りと違う選択をする精神的な強さがある人

論文式試験より相当前、周りが財務会計論計算編の基礎固めをしている頃から勉強を始める必要がある科目なので、色んなことを思いながらでも勉強できる強さが必要です。

私生活でトラブルを抱えており、法律上の知識が必要な人

民法の知識は公認会計士試験自体に関係なく役立つ知識なので、実生活で必要ある人は選択してもいいと思います。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

経済学

経済学とは?

多くの大学の経済学部で必修科目となっているミクロ経済学とマクロ経済学が出題範囲となっているのが経済学という科目です。ミクロ経済学は企業や個人の経済活動にフォーカスするのに対し、マクロ経済学は国や世界規模の経済変動にフォーカスします。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安500時間
私が推定する必要勉強時間の目安300時間

経済学の特徴

数学の知識が必要

経済学は計算問題が多いです。微分程度の数学の知識が必要です。

暗記量がやや多い

経済学は数学的な問題も多いですが、知識を問われる問題も出ます。なので暗記するべきことがそれなりにあります。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に影響が出るでしょう。

試験範囲が膨大である

多くの大学で必修となっているミクロ経済学とマクロ経済学が範囲な訳ですから、試験範囲はそれなりに広いです。それなりの勉強時間が必要です。

予備校の授業が早期から始まる

試験範囲が膨大であるため、論文式試験の1年以上前、周りのみんなが短答式を視野に各科目の基礎固めをしている頃から授業がみっちりあります。これは結構精神的に負担になると思います。私の同窓生にも経済学を選択したモチベーションの高い人がいましたが、彼は一回目の短答に落ちています。効率良く勉強する自信が無いなら、経済学は選択しない方が無難です。

選択科目の中で唯一実社会で役に立たない

名前だけで判断すれば、経済学を勉強したら経済のことが分かり社会で役に立ちそうですが、そんなことはありません。経済学の教授で自己破産した人もいますし、テレビに出る経済学教授の景気動向予測や株価予測はいい加減ですね。え?経済学はそんなことを目的にしていない?そんな目的でない経済学に実用性があると言えますか?

大学の必修科目の勉強には役立つ

実社会では役立ちませんが、経済学は実用性を放棄した代わりに学問自体が体系だっているので、勉強していて楽しいと思います。また、多くの大学で必修科目になっているはずであり、大学の勉強にも役立つはずです。

受験生が少ない

民法・統計学と同様、経済学選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。 模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

向いている人

数学が得意な人

4つの選択科目の中で一番数学を使います。高校文系レベルですが、苦手な人は回避した方がいいでしょう。

モチベーションがある人

周りと違う選択をする精神的な強さがある人

民法と同じですね。論文式試験より相当前、周りが財務会計論計算編の基礎固めをしている頃から勉強を始める必要がある科目なので、色んなことを思いながらでも勉強できる強さが必要です。

実用性を重視しない人

大学の勉強に活かしたい人

経済学は社会で役立たない代わりに大学の単位取得には役立ちます。大学の勉強とのシナジーが見込める点はいい点でしょう。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

統計学

統計学とは?

データ解析やファイナンス理論によく用いる記述統計と確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎等が出題範囲となります。数学に関連ある気がしますが、そんなことはありません。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安200時間
私が推定する必要勉強時間の目安60時間

統計学の特徴

実は数学の知識が必要ない

テキストには積分記号が載っていたりして、文系の方はそれだけで敬遠すると思います。ですが、 ジャガイモの栽培法を知らなくてもカレーが作れる様に、積分記号の意味を知らなくても統計学の問題は解けます。統計学を極めるのではなく、試験でいい成績を取るだけなら数学の知識は全く要りません。

中学受験レベル(=小学生6年生レベル)の算数はある程度必要

頭の柔軟さが必要

数学の知識は全く要りませんが、算数の力、つまり頭の柔軟さはある程度必要です。中学受験経験者で、「算数」が苦手だった人は統計学を避けた方が無難でしょう。

試験範囲が極めて狭い

確率と検定が分かれば統計学は何とかなります。試験範囲はとても狭いです。

覚えることが少ない

4つの選択科目の中で一番覚えることが少なく勉強が楽だと思います。なので、その分他の科目に勉強時間を割り振り、統計学自体の出来がどうであれ、他の科目で差を付けることが可能です。

論文式試験の合格率が一番高い

選択科目別合格率(独自集計)で詳細記していますが、4つの選択科目の中で一番合格率が高いのが統計学です。12月短答式合格者でかつ統計学選択だと、実に7割の人が論文式に一発合格します。統計学が勉強負担の少ない科目である点も影響していると思われます。

統計的思考力が身に付く

あなたは宝くじや馬券を買いますか?株式投資をする時、ポートフォリオはどう組みますか?統計学を勉強すれば、統計的思考力が身に付くのでこういう判断をする時ちょっとだけ役に立ちます。

受験生が少ない

民法・経済学と同様、統計学選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。 模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

他の受験生は楽をしたい人

4科目の中で一番勉強時間が少なくて済む統計学には、楽をしたい受験生が集まります。なので、他の受験生との差を意識する必要は民法や経済学程はありません。

向いている人

数学が苦手な人

統計学の問題を解くのに数学の知識は不要です。なので数学が苦手な人にもおすすめです。

中学受験経験者で「算数」が苦手ではなかった人

数学の知識は要りませんが、中学入試レベルの算数の知識は必要です。算数が苦手だった人は、例え数学が得意でも統計学を選択するべきではないでしょう。

頭が柔らかい人

管理会計論の(原価計算ではなく)管理会計側を無勉強でそれなりの点が取れる人 (=地頭がいい人)

中学受験を経験していない人の場合は、頭が柔らかいかどうか(管理会計側を無勉強でそれなりの点が取れるかどうか)で判断するといいと思います。

他の科目に勉強時間を割り振り、他の科目で差を付けたい人

統計学の必要勉強時間の短さは魅力的です。なので、選択科目は短時間の勉強でそれなりの点を取る科目と割り切り、他の科目をしっかり勉強して他の選択科目選択者に対して他の必修科目で差を付ける戦略であれば、例え算数が余り得意でなくても統計学を選ぶのはありでしょう。

楽して合格したい人

勉強負担も少なく、合格率も高い統計学なので、楽したい人にはおすすめです。

賭け事が好きな人

賭け事が好きな人は普段から確率について考えていると思いますので、統計学の考え方がすんなり頭に入ってくると思います。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

2016年12月10日土曜日

短答式試験後の時間の使い方

論文式試験の勉強を始めよう

短答式試験の出来に関係なく、最終的には論文式試験を突破しないといけないのです。ですから、気持ちを切り替えて論文式試験の勉強を始めましょう。

自己採点をしない様にしよう

短答式試験の自己採点をまだしていない人は、自己採点をしない様にして下さい。成績が良かったら浮わつくし、悪かったら落ち着かないしで、どっちにせよいいことは何一つなく時間の無駄です。友達から出来を聞かれたら適当に答えておいて、論文式試験の勉強に集中です。どうせ、自己採点を真面目にやったって、その自己採点結果の点を本当に取れているかは誰にも永遠に分からないんですから。

租税法は問題を解いてはテキストと法令基準集に戻るのを繰り返そう。(答えが合っていても戻って下さい。)

租税法は科目自体が合理的ではないので取っつきにくいです。問題を解いてはテキストと法令基準集に戻ることを繰り返すことで、ある時急に分かる様になります。また、法令基準集を参照することで、覚えなくてもいい点がどこかが分かります。
また、租税法は計算の順番を間違えると答えが1ずれる可能性があります。計算の順番の理解が誤っているのにたまたま正解しているだけの可能性がありますので、答えが合っていてもテキストと法令基準集を見る様にしましょう。

出来ること、やらなければならないことを順番にこなそう

短答式試験が終わると急に授業がなくなり、何を勉強していいか分からなくなるかもしれません。そういう時は出来ること、やらなければならないことから順にやりましょう。
取りあえず、短答直後には租税法と選択科目は完成していないはずです。租税法と選択科目をやっている内に答練が始まり、租税法と選択科目以外の埋めなければならない穴が分かる様になります。

2016年12月4日日曜日

古い法令基準は役に立つのか?

皆さん、短答式お疲れ様でした。2~3日は色んなことが頭をかすめてあらゆることに手がつかなくなるはずです。ですが、1週間もすれば、落ち着いて論文式試験の勉強を始めることと思います。

さて、ここで公認会計士試験の勉強に不可欠なのが法令基準集です。公認会計士試験(短答式)は法令基準集なんか読まないで突破できますが、公認会計士試験(論文式)は法令基準集が配布されるため、論文式試験の勉強のためには法令基準集が必須です。法令基準集が手元にあることのメリットは大きいです。
  • 暗記すべき所と、本番で調べれば済むところを区別できる様になる
  • 本番でより短時間で法令基準集の目的のページにたどり着ける様にする
  • 持ち込んで答練や模試を受ける際に必要
ですが、短答式試験が終わって法令基準集を手に入れようとした皆さんは慌てるはずです。
「売り切れてるじゃん!」
そうです。12月のこの時期法令基準集は売り切れています。2~3月になれば新しい法令基準集が販売になりますが、それまでの間に答練もあるし、法令基準集をどこかで手に入れなければなりません。
先輩からもらえる人はそれで構いませんが、先輩からもらえない人はネットやメルカリで検索して結構古い法令基準集を見つけることでしょう。あれは役に立つのでしょうか?

この古い法令基準集ですが、十分に役に立ちます。確かに最新の法令基準集ではないので、現行法と微妙に違う所もありますが、そういう所は見ればすぐに分かります。基本的な部分は同じなので、論文式試験の勉強をする上でディスアドバンテージにはならないでしょう。
古いとボロボロになってもいいや、と思えるため、電車の中でも気にせず読めるので、むしろ古い方がいいかも知れません。
実際、私が使っていた租税法の法令基準集は15年位前のもので税率も今とは違っていましたが、全く不都合しませんでした。そして、最終的に租税法は129位を取っています。
なので、法令基準集が手に入らなくて焦っている皆さん、古くても何でもいいので、法令基準集を手に入れましょう。

現役合格したければ、勉強し過ぎるな! サーカスの犬の罠

明日定期試験を受けるから、学校にもらった問題集の答え暗記しよう。
今度模試を受けるけれども、予備校の先生が先週妙にここ強調してたし暗記しておこう。
今度答練を受けるけれども、いい点を取るために事前に出題範囲を暗記しておこう。

ちょっと待って!!
その勉強、無駄です。というか、有害です。やらない方がマシです。

サーカスの犬

犬が足し算の問題を出されて正解の札を取ってくるサーカスを皆さんは見たことがありますか?
犬って賢いですね。足し算が出来るんですね!・・・な訳ありませんね。犬には足し算は出来ません。
では、なぜ犬は正解の札を取ってくることが出来るのでしょうか?それは、飼い主が合図を出しているからです。合図を見て正解の札を取ってくると誉められると言うことを繰り返す内に、パブロフの条件反射により正解の札を取ってくることが出来る様になるのです。

最近流行りのDeep LearningとOverfitting

今年、Alphabet社 (Google)の子会社がアルファ碁というソフトを開発してプロ棋士をコテンパンにやっつけましたね。このアルファ碁というソフトは、Deep Learning(機械学習)という機能を備えており、過去の数万に及ぶ棋譜を自動で解析して局面を評価する評価関数を自動生成し、いい手と悪い手を自分で勉強していくのだそうです。
さて、ここでアルファ碁に勉強させる過去の棋譜が全部幼稚園児の打った棋譜だったら、何が起きるでしょうか?優れた評価関数が出来るでしょうか?
機械は、与えられたインプットデータに共通する条件をじぶんで見つけ出し学習しますが、機械が正しく学習するためには、勉強するデータが普遍的なものである必要があります。そうでない場合、与えられたインプットデータにはキレイに一致しますが、新しい事象に対応出来ない学習となってしまうでしょう。
グラフ1を見て下さい。このグラフには5つの点がプロットされていますが、これを見てxとyにどういう相関があると皆さんは思いますか?多くの皆さんは、グラフ2の様な線をイメージするはずです。しかし、グラフ3の様な線を描くことも出来ます。グラフ2の線は微妙に5つのプロットからズレているのに対して、グラフ3の線は完全に5つのプロットを通っています。与えられた5つのインプットデータへの一致率はグラフ2よりグラフ3の方が高いですが、グラフ3の線はグラフ2の線と違って将来の6つめのデータを恐らく説明出来ないでしょう。
この様に、全ての事象に存在する訳ではなく、たまたま学習した範囲に存在していた共通点を、普遍的なものであると勘違いして学習してしまうことを、Overfitting (オーバーフィッティング、過剰適合、過学習)と言います。

人間のズル  意識してやる過剰適合

サーカスの犬も本来計算結果とは何の関連性もない飼い主の仕草を見て答えが分かる様になっている訳で、Overfitting (過剰適合)が起きていると言えます。
人間の場合どうでしょうか?人間は優秀だから犬とも機械とも違って、勉強した範囲にしか適用できない覚え方 (グラフ3の様な覚え方)をすることはありえないのでしょうか?
高校時代を思い出してみて下さい。期末試験の前日、学校でもらった問題集の答えを丸暗記したことはありませんか?先輩から過去問をもらって解いたことはありませんか?高校の期末試験でいい点を取ることが勉強の目的であれば、効率のいい勉強法かも知れませんが、学力をつけるためと考えるなら、この勉強法はサーカスの犬と同じ、グラフ3の勉強法になっていると言えるでしょう。
人間も過剰適合しているのです。

あなたも過剰適合している   無意識の過剰適合

「高校の期末試験対策は赤点回避のためにやむを得ずにやっただけで、公認会計士試験の勉強でそんなことするはずない。」
そう仰る人もいるでしょう。確かに公認会計士試験の勉強で意識してやる人は余りいないでしょう。
ですが、本当にあなたは過剰適合していないでしょうか?

あなたは予備校のテキストで勉強していますか?
読んでいるテキストに書いてあること、それは普遍的な真理ではなく普遍的な真理をテキストの作成者が切り取ったものです。予備校の先生が強調していた所は、本試験で重要度が高い所ではなく予備校の先生が本試験での重要度が高いと思っている所です。
答練で出てくる問題は、出題範囲の中の一部を、ある切り取り方で出題したものです。本番で同じ部分が出るとも、同じ切り取り方をされるとも限らないのに、何度も答練を繰り返し解いていませんか?
明日、模試だからって、先週先生が授業中に繰り返していた部分を勉強していませんか?そうすると模試の結果は良くなるでしょうが、その勉強の効果は本試験までもちますか?
つまり、私達の勉強の対象は常に偏っており、そのことを意識しないで勉強することには問題があるのです。

過剰適合の問題点

「過剰適合かもしれないけれども、勉強しないよりはマシなんじゃないの?」
そう思う人もいるでしょう。その考え方が間違っているとは言いません。ですが、合っているとは言えません。
なぜなら、勉強して過剰適合が起きてしまうと大きな問題が生じるからです。

模試でいい成績を取ってしまう。

自分の課題に気付けない。

試験や模試で点が悪いと焦ります。問題を間違えることで、自分の理解が不十分な点をしっかり把握できます。しかし、いい点を取ってしまうと、こういう効果が見込めないのです。実力でいい点を取ったならそれでも構いませんが、ドーピングしていい成績を取ってしまうことには弊害があると言えるでしょう。

勉強が足りている気になる。

いい点を取ってしまうと実力がついていないのに勉強が足りている気になってしまいます。長時間勉強机に向かっており御本人が勉強したつもりになっているだけに、これはタチが悪いです。

頑張りがきかなくなる

勉強はつらいものです。そのつらい勉強時間はなるべく最短にしたい、と誰もが思います。無駄で効率の悪い勉強に時間を割いてしまうと、後で効率のいい勉強をする忍耐力が残らない可能性があります。それなら、その時間遊んでリフレッシュしておいて、後で集中して勉強した方がいいです。

知らない問題に対処出来なくなる

あらかじめ勉強してある問題を解くことを繰り返していると、普段と違う出題の仕方をされた時、あるいは知らないことが聞かれた時、焦ってしまいます。また、こういう知らない問題に対処する訓練を積んでいないため、知っていることを駆使して知らない問題に答えると言うことが出来なくなるのです。例えば、2016年論文式試験の管理会計論第2問の第1問で実は簡単だけど予備校では見たことがない問題が出題されました。過剰適合の弊害でこれが答えられなかった受験生は多かったでしょう。ですが、私は過剰適合していないのでこの問題を容易く正解し、管理会計論で偏差値90点を確保することに成功したのです。

アクセスや答練の点が悪くても、模試や本番でいい点を取れる人になるには?

人間の学習対象が偏っている以上、人間は無意識の内に過剰適合してしまいます。
この対策として以下の様な方法をお勧めします。

目的意識を持って勉強する

2日後の試験でいい点を取ることは勉強の目的ではないと理解しているから、2日後の試験のためだけの勉強はやらないのです。自分の目的を達成するためだけの勉強をするから、総勉強時間が極端に短くても上位合格出来るのです。

考えながら勉強する (一般化して理解する)

自分が勉強していることをなるべく一般化させて理解する様にして下さい。
勉強対象が偏っていても、一般化させようと思いながら勉強していれば、その偏りを補うことが出来ます。

色んな勉強をする

勉強の情報源を多様化して下さい。普段と違う先生に質問してみて下さい。他の予備校のテキストを読んでみて下さい。新聞を読んでみて下さい。勉強机に向かうだけが勉強ではありません。色んな勉強をして下さい。そうすることで、それぞれの経験同士が補い合い、深みのある勉強をすることが出来ます。

他の予備校の模試を受ける

他の予備校の模試は普段教わっていない先生が作っているので、自分の実力を客観的に評価する役に立ちます。刺激になります。
まあ、私は受けませんでしたが・・・

私の様に、アクセスや答練は低空飛行だけど、模試や本番ではいい点が取れる人は、ここに書いた様なことを意識して勉強しています。

長時間勉強机に座ることには何の価値もない

皆さんの目的は何でしょうか?定期試験でいい成績を取ることですか?模試でいい成績を取ることですか?本当の目的は何でしょうか?それを常に意識して勉強に励んで下さい。そうすれば、勉強机に長時間座ることには何の価値もないと分かるでしょう。
現役合格したいなら、そんな勉強しないで下さい。

まとめ

目的意識を持って、考えながら勉強して下さい。色んな情報源から情報を取り入れて下さい。そうすれば、勉強時間を劇的に減らすことが出来るはずです。

2016年11月27日日曜日

租税法の効率の良い勉強法・学習法

短答式試験が終わると、それまで放置していた租税法の勉強をやり始めることになりますが、ここで多くの人が思うはずです。
「ややこしすぎるし、合理的じゃない制度だらけなんじゃないか?」
そうです。会計学が、投資家に対する情報提供機能という明確な目的をもって構築された学問なのに対し、租税法は自民党を代表とする政治家が有権者に媚を売るという不純な目的で構築されているため、ご都合主義で気まぐれな規定ばかりとなるのです。そのため、科目としてのポリシーがなく、勉強し始めて最初混乱するはずです。
  • 四捨五入?切捨?切上?端数処理規定無し?
  • 小数点以下何位まで計算?
  • 四則演算の計算の順番は?
  • みなし譲渡?低額譲渡?
  • 有権者有利?有権者不利?
ですが、安心して下さい。租税法はコツさえつかめば点が上がり易い簡単な科目です。
では、租税法の特徴と攻略法を見てみましょう。

租税法の特徴

1 法令基準集が配られる

会計学の法令基準集と異なり役に立つ法令基準集です。上手に使えば覚えることを減らせます。

2 制度が多くて複雑だが、それぞれの制度自体は単純

制度が多いので混乱しますが、それぞれの制度自体は複雑な制度ではありません。テキストも論点ごとに区切れば決して分厚いものではないと思います。

3 論点が独立している

租税法はそれぞれの論点が独立しています。

4 試験時間が足りない

例えば私の場合ですが、答練や模試で時間が足りませんでした。本番も時間が無くて最後の消費税の問題丸ごと解けませんでしたが、それでも本番136位でした。全部の問題を解かなくてもいい成績が取れます。

5 多くの受験生が短答式試験後に勉強を始める

と言うことは、みんな勉強が足りていない、と言うことです。周りのみんなの勉強時間が少ないと言うことは、論文式試験は相対評価なのでちょっと勉強するだけで成績がはねあがると言うことです。
こう言うと、アクセスで周りみんな点数がいいんですけど・・・と不安に思うかもしれません。ですが、安心して下さい。確かに私もアクセスの点や順位がずっと悪かったですが、模試や本番ではいい成績を取っています。その実体験から断言します。他の受験生はアクセスでいい点を取る勉強しかしておらず、本番でいい点を取る勉強はしていません。

6 毎年制度が変わる

最近も2017年都議選対策で配偶者控除の金額を変えるとニュースになっていますが、この様に自民党の気まぐれで毎年税制は変わります。

租税法の勉強法

1 問題集を解く。答えが合っていてもテキストと法令基準集に戻る

2 問題集を解いて答えが違ったら自分が解く時に書いた数式までさかのぼってチェックしてなぜ答えが違うかを確認する。

個別の制度自体は単純なため、テキストを読んでいると理解できてしまいます。でも、実はその理解は身に付いていません。問題集を解き解法を見比べることで、理解が完璧でない点をあぶり出すことが出来ます。租税法は端数処理と計算の順番で答えが1ズレることがありえますので、答えが今回たまたま合っていても次回も正解できるとは限りません。解法を見比べるとこの点も改善できるでしょう。
それに、問題集に載っている論点は重要論点です。その箇所をテキストに戻って確認することで、どの制度が重要かがなんとなく分かる様になります。
また、テキストに戻る際に法令基準集を確認することで、覚えなければならないことと、試験当日参照出来れば十分なことの区別が出来る様になり、勉強の効率が上がります。

3 分かり易い個別論点から勉強する

租税法はそれぞれの論点が独立しています。なので、個別論点ごとの勉強をすることもできますし、本試験も個別論点ごとに得点が可能です。それぞれの論点自体は単純なので、論点ごとの勉強なら負担にならないでしょう。

4 勉強段階から論点を取捨選択する

試験時間が足りないと言うことは、別の言い方をすれば、どうせ全部の問題を解けないんだから論点を勉強の段階で取捨選択することが出来ると言うことです。
(ただし、論点の取捨選択は少なくとも春先まではしない様にして下さい。取捨選択してしまうと、科目の底に流れるものを感じとることが出来なくなってしまうので。)

5 勉強していて論点が意味不明でも諦めない

租税法は独特なので最初頭に入ってきませんが、論点が意味不明でも諦めずに勉強していると、ある時急に分かる様になります。
多くの受験生が短答式試験後に勉強を始め勉強が足りていない中で、この領域までたどり着ければ大きな差を付けることが出来るでしょう。

6 世の中の動きにアンテナを張る

毎年制度が変わると言うことは、 毎年流行りの税制があるということです。試験勉強するだけではなく、世の中の動きにアンテナを張っておけば、出そうな分野、大事そうな分野はなんとなく分かるでしょう。新聞読むようにしてもいいんじゃないでしょうか?

短答式試験対策法 (当日気を付ける16の試験対策)

短答式試験攻略法 (直前期の10の対策と短答式の特徴)で直前期の過ごし方についてはお伝えしました。続いて当日朝起きてから試験が終わるまでの間に気を付けるべきことを列挙させて頂きます。

試験会場に到着するまで

1 会場には十分に余裕を持って到着する

「十分に」の解釈に個人差があるかもしれませんが、私は試験開始の3時間前には会場に到着しておきました。時間があると、以下の通り多くの利点があります。なので会場には早めに乗り込みましょう。
  • 交通機関がマヒしてもゆとりを持って対応出来る
  • 会場に着くまでに疲れた体を休められる (日曜日には通勤ラッシュはないでしょうが・・・)
  • 直前に勉強できる
  • 会場付近のコンビニが売り切れになっていない
  • 忘れ物をしていても調達の手段がある
  • 会場でトイレに行く時間が十分にある

2 昼食を確保する

近くのコンビニで仕入れるつもりかも知れませんが、資格試験の時は会場近くのコンビニは売り切れになることが多いです。なので、朝一で買うことをオススメします。 腹が減っては戦は出来ぬ、と言いますもんね。その際、以下の様な食べ物がいいと思います。
  • 腐らないもの
  • 午前中の試験の出来が万一悪くても喉を通りそうなもの
と言うことは、別の記事に書きますが、模試を受ける時の昼食も本番を意識してこの様な食事にすべきです。

3 会場についたら所持品を確認する

折角朝早く会場に着いた訳ですから、忘れ物がないかの最終確認をして下さい。まだ間に合います。
最近は携帯電話が時計代わりになるので、時計も忘れがちです。

4 電卓を忘れていても焦らない。

短答式試験は企業法、管理会計論、昼休み、監査論、財務会計論の順ですが、管理会計論程度の計算なら電卓無くてもなんとかなります。昼休みに電卓入手しておけば問題ありません。電卓を忘れた場合に問題なのはメンタルに影響が出て集中できないことです。なので、電卓を忘れていても冷静に対応しましょう。
実際、私は公認会計士試験の計算よりもはるかにややこしい対数の計算もある理系のエネルギー管理士という資格受験時、電卓を持参するのを忘れてしまいましたが、問題なく受かっています。電卓無くても焦らないで下さい。

試験時間中の過ごし方

5 集中する

当たり前のことですが、この当たり前のことが出来ていない人が多いです。
隣の受験生のボールペンの音がうるさいとか、机がガタガタしていて集中できないとか、下らないことで文句を言う人が多いですが、それは集中していない証拠です。本当に集中していれば、試験会場が暑いか寒いかも試験が終わるまで気付かないはずです。

6 時間配分を意識する。

時間が足りない科目もありますが、出来る限り多くの問題を解ける様に時間配分に気を付けましょう。

7 動じず、冷静に、諦めない

訳の分からない問題が出るかも知れませんが、最後の一秒まで出来ることがあるはずです。頑張りましょう。あなたにとって訳の分からない問題は、隣の受験生にとっても訳の分からない問題です。

休み時間の過ごし方

8 群れない

試験会場で知り合いを見かけると嬉しくなって話し掛けてしまうかもしれません。挨拶位なら問題ありませんが、それ以上話しても良いことは何もありません。
  • 休み時間が減る
  • 友人の出来が気になる
友人の出来が良くても悪くても、あなたの合格可能性には何一つ影響しません。友達の出来を確認して落ち着きたいのかも知れませんが、落ちる時は二人とも落ちるでしょうし、合格する時は二人とも合格するでしょう。話すだけはっきり言って時間の無駄です。

9 飲み過ぎない

10 トイレには小まめに行く。

試験時間中にトイレに行くことのデメリットは大きいです。
  • トイレを我慢しようとして集中力に影響が出る
  • 試験時間が減る
  • トイレに行ってしまった後悔でメンタルに影響が出る
なので、休み時間には小まめにトイレに行きましょう。また、飲みすぎにも注意が必要です。
ただ、そう偉そうに言っている私は論文式の租税法で人生で初めて試験中にトイレに行きました。
それでも49位で受かるので万一トイレが我慢出来なくても気にしないで大丈夫ですよ。

11 休み時間に自己採点しない。

12 終わった科目の出来を気にしない

私の場合、管理会計論が得意科目でしたが、短答式午前中の管理会計論が終わった時点で40%取れなかったという感触で、ちょっとだけ血の気が引きかけました。それでも65%取っています。
一方で、企業法は90%位取ったと思いましたが、実際は70%でした。
つまり、試験会場での感触なんてアテにならないということです。自己採点したりするのは精神衛生上も悪影響ありますし、試験直前の貴重な時間を無駄にするという点でももったいないです。

13 隣の人同士がしている答え合わせは内心馬鹿にしておく

正解を知らない人同士が答え合わせをしても時間の無駄です。そんなことをやって時間を無駄にしている人がいることに感謝しましょう。その人達の答えとあなたの答えが違ったら、差を付けることが出来たと思って喜びましょう。
私が短答式を受けた時、斜め後ろに座ってた知らない人が「簡単だったよな!マークミスだけが怖いわあ♪」と友達と雑談していましたが、彼らの受験番号は合格番号一覧にありませんでした。ノリノリだった彼らがかわいそうですが、これが現実です。

試験終了後の過ごし方

14 帰路に自己採点しない

予備校が試験会場前で解答速報を配っています。ついつい受け取って自己採点してしまいますが、自己採点はしても良いことは何もありません。自己採点結果が悪かったからと言って、大学入試のセンター試験の様に東大を諦めて京大を選ぶ、という訳には行かないのです。あなたには来年8月の論文式試験しかないのです。どうせ来年の8月には論文式試験を受けることは変わらないのです。
万一短答式を来年の5月に再度受けることになるとしても、暗記科目は直前まで勉強しない訳ですから、当面の勉強は論文式対策になるという事実は変わらないのです。
それなのに自己採点してしまい、点が万一ボーダーライン上だと、結果が気になって色んなことが手に付かなくなります。百害あって一利無しなので、自己採点は止めましょう。え?間違えた問題を見直したい?心配しないで下さい。そんなこと出来る精神状態にはならないと思います。
・・・って私が言っても自己採点しちゃうとは思いますけどね。

全般的な注意事項

15 想定外の事態が起きても焦らない

万全の準備をしていても、想定外の事態が起きるかもしれません。寝坊するかもしれませんし、電車に荷物を忘れるかもしれません。でも焦らないで下さい。
私は中学受験をし名門と言われる中学に入りましたが、利き腕の右腕を当日骨折したけど左手で試験を受けてちゃんと合格している友人もいました。
その程度のことで動じない様にして下さい。

16 自信を持つ

最後に。しつこいですが、自信を持ちましょう。その自信は全ての源泉です。

2016年11月21日月曜日

会計用電卓は買うべきか

公認会計士受験生は結構いい電卓使っています。例えば資格の学校TACだと、校舎の受付で会計用電卓としてシャープのEL-G37を売っていて、受講生の半分くらいがこの電卓使っています。しかし、この電卓異常に高いです。
そこで、多くの受験生が悩みます。この高い会計用電卓は買うべきか?と。

私はこの会計用電卓を買って使っていました。そこで、この会計用電卓は不要だと思います、と断った上で、会計用電卓のいい点を4点程列挙したいと思います。
会計用電卓の良い所ってそれだけしかないのか・・・と多くの人は思うと思いますが、この記事を読んでどうしても会計用電卓が欲しいと思ったら買ってみて下さい。

スピード入力に対応  ロールオーバー
2つ以上のキーを素早く入力した場合、普通の電卓だとどちらかの入力しか受け付けませんが、会計用電卓だと受け付けてくれます。

種々の高度な計算が出来る
日暦算も出来ます。未払利息を日割りで計算したい場合なんかは重宝する、かもしれません。

太陽電池が一応付いている
太陽電池が付いていますので、電池の消耗が抑えられますが・・・。ただし、過信は禁物です。この会計用電卓、太陽光のみでは動きません。本体の電池が消耗していると動作しないので気を付けて下さい。

精神的に安定する
公認会計士試験の合否は電卓の入力速度では決まりませんし、私は公認会計士試験合格前には電卓での暦算の仕方を知りませんでした。では私がこの電卓の何がいい思っていたかと言うと、使っている道具で他人に負けていないことで安心感を得られたという点になります。つまり、天満宮の御守りみたいなものですね。

2016年11月19日土曜日

短答式試験攻略法 (直前期の10の対策と短答式の特徴)

そろそろ短答模試の結果も返って来て、いよいよ第1回短答式試験まで2週間程度になりましたね。
模試の結果が悪かった人もまだまだ追い付けます。事実、私は模試でC判定、監査論は足切りを喰らっていますが、短答に受かっています。諦めかけている方もここが踏ん張りどころです。
踏ん張りどころであるこの2週間程度をどう過ごすかについて、短答式試験の特徴を踏まえて私なりの考えを書きます。
  1. 公認会計士短答式試験の7の特徴
    1. 絶対評価である
    2. 足切りがある
    3. マークシートである
    4. 愚問が多い
    5. 論文式試験に持ち越せない
    6. 成績は非開示である
    7. 短期決戦である
  2. 短答式直前期を過ごす上で大事な10の対策
    1. 苦手科目を無くす
    2. 暗記科目を重視する
    3. 当日見直す場所を決めておく
    4. 己を知る
    5. 雰囲気で覚える
    6. ギブアウェイ(=過剰品質)を出さない
    7. 当日のシミュレーションをする
    8. 生活リズムを整える
    9. 所持品の確認をする
    10. 自信を持つ

1 公認会計士短答式試験の7の特徴

A) 絶対評価

まず、短答式試験は、概ね絶対評価です。確かに問題の難易度によっては合格点は多少上下しますが、70%程度取っておけばほぼ間違いありません。その点が隣の受験生よりもいい点を取れば受かる論文式との違いです。

B) 足切りがある

40%を下回る科目があると不合格になります。

C) マークシートである

マークシートである以上、惜しい間違いというのは存在しません。正解か不正解かの二択です。従って、あやふやな知識は役に立ちません。

D) 愚問が多い

予備校の回答速報が割れてしまう様な問題、割れるだけならまだしも酷い時には一つの予備校が「1か3が答えだと思います」と答えを1つに絞りきれない愚問が出てきます。

E) 短答式試験の点は論文式試験に持ち越せない

大学入試のセンター試験であれば、圧縮されて二次試験で加算されるためいい点を取ることに意味があります。しかし、公認会計士試験では、論文式への加算はなく、いい点を取ることに試験制度上の意味がありません。

F) 短答式試験で何点だったかは誰にもわからない

論文式試験は、合格通知と同時に順位が通知されます。なので、いい順位で合格しておけば、監査法人への就活で役立つでしょう。友達へ自慢も出来るかも知れません。一方で、短答式試験の成績は通知されません。自己採点は出来ますが、何を選んだかは自己申告である上、マークミスをしていないという保証は誰にも出来ない以上、その自己採点結果には何の意味もありません。

G) 1日で終わる (=1日に4科目ある)

良くも悪くも1日で終わります。そのため、前の科目の出来がメンタルに影響します。

2 短答式直前期を過ごす上で大事な10の対策

A) 極端な苦手科目を無くす

足切りがあるので、各科目少なくとも40%は取れる様に極端な苦手科目を無くして下さい。
この極端な苦手科目を無くすというのには別の効果もあります。多くの場合、70%の出来を90%にするよりも30%の出来を50%にする方が簡単です。苦手科目を勉強するということは30%の科目を勉強することになるので、限りあるリソースの有効活用が図れます。
この現象は社会人風には「20 - 80の法則」と言います。80%のクオリティーで仕事をするには20%の労力で済むが、100%のクオリティーを実現するには100%の労力が必要となってしまう、つまり残り20%のクオリティーを上げるのには80%の労力が必要になってしまう、と言うことです。

B) 暗記科目を重視する (=直前まで暗記科目を放置する)

記憶は短期間の方が残ります。なので暗記科目は直前に覚えた方が効率的です。別の表現をすれば、暗記科目の勉強は直前までしないようにして下さい。
実際私は11月最終週まで監査論に手を付けていませんでした。

C) 試験当日に見直す所を決めて印を付ける

しつこいですが、記憶は短期間の方が残ります。試験直前の30分は何より貴重な30分です。その30分に見直す所を決めておきましょう。
と書くと、カラフルな美しいまとめノートを作る人がいますが、誰かに見せる訳ではないのでそんな必要はありません。そんな暇があったら勉強して下さい。

D) 自分の力量を正確に把握する

暗記科目は直前まで放置しろと言いましたが、放置した結果として暗記科目が間に合わないのは困ります。この様に放置しても問題ないのは、自分の力量を正確に把握しているからです。
合格レベルに達するまでに後何ページ勉強すればいいのか、それだけ勉強して理解するのに自分にはどの程度の時間が必要なのか。それを知っているから直前まで安心して放置出来るのです。
例えば、 学生時代の定期試験や他の資格試験での経験から、 1日で200ページ程度理解でき試験直前に2回読み込めばいい点が取れると、私は自分の力を評価していました。だから、監査論を自信を持って放置出来たのです。
敵を知り、己を知れば百戦して、また危うからず、ということです。もちろん、これは直前だけではなくて普段から意識しておくべきことですが。

E) 暗記科目を雰囲気で覚える

前述した通り短答式試験はマークシートであり、あやふやな知識は役に立ちません。従って、真っ正直に試験勉強するには、出題範囲のあらゆる細かい事項を覚える必要があります。膨大な時間をかけて公認会計士試験合格を目指す方ならそれでも構いませんが、このページを読んでいる皆様はもっと楽に受かりたいはずです。
細かい事項を覚えるのではなく、霞ヶ関の立法担当者、制度作成者、学者がどう考えそうか、と言うことを意識しながら勉強して下さい。
言い方を変えるなら、全ての問題をフィーリングで答えられる様にするために、それぞれの科目に存在するポリシー・雰囲気を理解してそれを覚えるのです。
また、短答式試験は愚問が多いですが、1問1答方式の勉強では応用が効かず愚問に対応出来ません。フィーリングで覚えておけば、愚問に正答する可能性を高めることが出来ます。

F) ギブアウェイを出さない様にする

短答式試験の成績は開示されない上に持ち越せない上、いい点を取ったと証明する術がない以上、短答式試験でいい点を取ることに意味はありません。短答式試験の勉強をすることが論文式試験の攻略に役立つなら短答式でいい点を狙えばいいですが、短答式試験には愚問が多く、短答対策の勉強は論文式試験に直接は役立ちません。なので短答式試験でいい点を取るために勉強するのは無駄です。社会人風には、これはギブアウェイと言います。
冷蔵庫を思い浮かべて下さい。あらゆる言語を自動翻訳する機能のついた冷蔵庫を三菱電機が開発したらどう思いますか?便利、と思うでしょうか?思いませんね。誰も冷蔵庫にそんな機能を求めていないからです。そんな機能は携帯電話に付ける様に開発すればいいのであって、冷蔵庫に自動翻訳機能を付ける開発資金があるなら、別の消費者が求める機能の開発にリソースを投入するべきです。この様な過剰品質がギブアウェイであり、企業の競争力に影響するのです。
同じことです。短答式試験でいい点を取っても何の意味もない以上、過剰に短答式試験対策するのは避けるべきです。え?友達に短答式試験の成績自慢したい?なら、90%取ったとでも適当に言っておいたらいいんじゃないですか?どうせ短答式試験の成績なんて、ただの自己申告なんですから。

G) 当日のシミュレーションをする

前日寝付けなかったらどうしますか?
朝起きて何時の電車に乗るか決めましたか?電車が止まってたらどうしますか?
試験会場が開くまでの間時間をつぶす喫茶店はありますか?日曜日の早朝でも営業してますか?
昼御飯はどうしますか?近くのコンビニは受験生が殺到して売り切れるかも知れませんよ。
緊張でさっぱりしたものしか喉を通らないかも知れません。
得意科目で大コケしたと思い込んじゃうかも知れません。
1日に4科目がありイベントが多いので、当日の懸念点を確認するために、試験当日の動き方を時間をかけないでいいので一通り簡単に確認しておいて下さい。そして、事前のシミュレーション通りに行かないことを想定しておいて下さい。

H) 生活リズムを整える

試験前日だけ早く寝ようとしてもダメです。寝付けないでしょう。数日前から試験当日を意識して起床・就寝時刻を調整しましょう。

I) 所持品のチェックをする

電卓はありますか?その電卓が壊れたらどうしますか?筆記用具は?試験中に芯が詰まったりした時の替えの筆記用具は?財布にお金は入っていますか?
私は万一の場合に備えて違う機種の電卓を2つ、シャーペンは0.5mmと0.9mmのものを2本ずつ、消ゴムは数個用意しておきました。

J) 自信を持つ

最後に。自信を持って下さい。例え勉強するつもりだった所を全部押さえられていなくても、模試の結果が悪かったとしても。午前中の科目の出来が悪そうでも。
自信を持って下さい。
試験当日は、あなたを落とす様ならそんな見る目のない公認会計士監査審査会率いる公認会計士業界になんかに入らなくてもいい、とさえ思っていてもいいでしょう。
その自信が、想定外のことがあっても平常心で対応する力の源泉になります。

2016年11月17日木曜日

ブラックフライデーと任天堂

今週の11月25日はブラックフライデー(Black Friday)ですね。ブラックマンデー(Black Monday)みたいに不吉な名前をしていますが株価が暴落する訳ではありません。11月第4木曜日が感謝祭(Thanksgiving Day)でアメリカでは祝日ですが、ブラックフライデーとはその翌日のことです。この日はクリスマス商戦の初日であると同時に感謝祭プレゼントの売れ残り一掃セールの日で、信じられない割引価格で商品が売られます。そのため、ブラックフライデー前日の感謝祭の夜からアメリカ中の小売店の前には開店を待つ大行列が出来、 ブラックフライデーは一年で最も商品が売れるのです。

前世代のゲームボーイアドバンスやゲームキューブがコアなゲーマーにのみ受け入れられ、ライトユーザーのゲーム離れが進む中任天堂から発売されたのが、ニンテンドーDSやWiiでした。タッチスクリーン等の直感的なユーザーインターフェイス、すれちがい通信という通信機能を有するDS、Wiiリモコンによる直感的な操作が可能なWii、これらは斬新で、脳トレといった非ゲーマー層にも楽しめるソフトの力もありゲーム人口の拡大をもたらし、いずれの商品も販売台数が1億台を超える爆発的なヒット商品となります。任天堂の株価はうなぎ上りに上がり、一時期7万円まで到達しました。
ハードウェアが売れれば売れる程、ソフトメーカーがソフトを作りたくなり新作ソフトを投入し、新作ソフトが出れば出る程、魅力的なソフトをプレイしたくてハードウェアが売れ・・・、という好循環を回すことが据え置き機のゲームビジネスでは重要ですが、DSとWiiではこのサイクルが見事に回ったのです。
その様なDSもWiiも発売から数年過ぎ陳腐化の進む中、任天堂がDSとWiiの後継機として投入したのはニンテンドー3DSとWiiUでした。
しかし、3DSやWiiUは売れませんでした。DSやWiiは共に1億台以上を売り上げた一方で3DSは6000万台、Wii Uに至っては1000万台しか売れませんでした。ハードウェアが売れないから新作ソフトが出ず、だからハードウェアも売れないという負のスパイラルに陥ったのです。
もちろん、3Dでプレイできるというコンセプト、ゲームパッドを使えばテレビ無しでもプレイできるというコンセプト、携帯ゲーム市場の発達といったことが売れなかった主要因でしょう。しかし3DSは商品の投入時期がブラックフライデーに間に合わず初期段階において普及が進まなかったこともヒットしなかった要因の一つです。

ポケモンgo以降株価が高止まりしている任天堂はNintendo Switchを2017年2月に発売するそうです・・・。ブラックフライデーをハナから諦めて大丈夫なのでしょうか?

2016年11月15日火曜日

公認会計士一発合格までの時間の使い方と成績推移 (社会人の実体験)

公認会計士に一発合格した社会人の私が、どの様に時間を使ってきたか、その結果の成績がどの様であったかについて実体験をお話ししようと思います。このページを読めば、公認会計士の勉強がそんなに大変なものではないことが分かってもらえると思います。

1 私が公認会計士試験合格までに費やした累計勉強時間



        
総合財務会計論管理会計論企業法監査論租税法選択科目
計算理論
短答式模試(2015年11月)まで授業・アクセス・答練・模試受験時間580時間190時間90時間70時間110時間60時間(寝てました・・・・)50時間14時間
自宅等勉強時間360時間270時間30時間17時間25時間0時間20時間0時間
短答式模試260位(C判定)260位(C判定)50位(A判定)180位(B判定)680位(E判定)得点29点で足切り--
短答式試験(2015年12月)まで自宅等勉強時間65時間5時間8時間5時間15時間30時間0時間0時間
短答式試験68.4% (67.0%が合格点)73.5%65%70%60%--
論文式試験(2016年8月)まで授業・アクセス・答練・模試受験時間230時間40時間0時間15時間25時間30時間90時間32時間
自宅等勉強時間190時間20時間30時間8時間20時間30時間60時間20時間
第1回公開模試150位(B判定)200位(B判定)50位(A判定)300位(D判定)250位(C判定)150位(B判定)5位(A判定)
第2回公開模試100位(A判定)250位(B判定)50位(A判定)150位(A判定)500位(D判定)50位(A判定)5位(A判定)
論文式試験50位50位550位550位150位5位

表の中の順位は記憶に基づいたざっくりした順位です。

2 時系列

2014年12月~
TACに通い始めます。この頃は真面目に勉強していました。
企業法は授業の後でテキストを1度読む様にしていました。
財務会計論は問題集の問題を解く様にしていました。
2015年1月~
パワプロのスマホアプリがリリースされ、ハマってしまいます。勉強時間が劇的に減ります。
管理会計論が始まります。問題集は1通り目を通しました。
2015年3月~
 遅ればせながら白猫プロジェクトに、ハマってしまいます。 監査論が始まります。授業は爆睡、自習もしませんでした。
2015年11月
短答式の模試を受ける。理論系の科目は事実上無勉強で、特に監査論が悪い結果に。ただし、想定通りで、追い込む自信はありました。
2015年11月25日頃~
そろそろヤバいと思って本気を出す。
2015年12月
人生で初めてIPOが当たる。インターワークス。補欠からの繰り上げ。繰り上げ当選ってことは公募割れか?という不安が・・・。試験直前にも関わらず、上場日の12月3日は相場が気になる。昼休みに、このままだと勉強に支障が出ると思い、成行で売りを入れる。
短答式を受験する。財務会計論計算が劇的に簡単だったが、財務会計論の点が伸びず自己採点で68.4%。有名予備校のボーダー予想が67~68%。メンタルに負担のかかる監査論短答式をまた受けるのは辛いという思いで勉強が1週間程度手につかなくなる。
冷や汗をかき、心を入れ替えようと思うも、家庭の都合で引っ越すことになり、家探しに奔走することになる。と同時に勉強への意欲が薄れる。
2016年1月
合格発表。ほっとする。
将棋ウォーズに、ハマる。
2016年GW頃
第一回論文式の模試を受験する。もう少し勉強した方がいいかもなぁと思ったものの、アプリストアで乃木恋というアプリを見つけて遊んでGWをつぶしてしまう。
2016年7月
第二回論文式の模試を受験する。余り勉強しないでもそこそこいい成績取れているので油断する。 ポケモンgoがリリースされる。ハマる。任天堂株も持っていたため、値動きが気になり勉強が手につかない。株は一旦手放す。
2016年8月お盆
危機感を持ち本気を出す。

3 まとめ


あきれ返るほど勉強へのやる気が感じられませんね・・・
しかし、それでも2桁順位で受かっちゃうんです。本ブログではそのコツを皆さんに伝えられたら、と思います。
社会人の方だけでなく、学生の方にも参考になると思います。
まずは以下の記事をご覧下さい。

短答式試験攻略法 (財務会計論)

短答式試験の科目別の攻略法です。
私の合格までの実体験を一読して頂ければ分かる通り、私はかなり省エネで合格しています。
私の勉強法を真似してもらえれば、かなり楽に合格できるのではないかと思います。


財務会計論 (計算)
科目の特徴
ボリュームがあり大変な科目。ただ、意外とその場で考えて答えを出せる問題もあります。

勉強法
この科目は積み重ねの科目です。なので、授業で習ったことはその授業中に理解して覚えちゃいましょう。
また、会計処理を丸暗記するのではなく、財務会計の目的を意識しながらなぜそういう会計処理をすることに決まったかを理解しましょう。

財務会計論 (理論)
科目の特徴
理論もボリュームがありますが、これもその場で考えて答えを出せる問題が結構多いです。

勉強法
短答試験前、正直監査論をつぶすのに時間を割いたので、正直ここまで時間残りませんでした。なので、配られた正誤問題集を1回解いてテキストの該当する箇所に印を付けただけです。

試験問題の解き方
分かる問題を確実に解くことが大切です。一方で、分からない問題が出ても、問題文に書いてある数字を組み合わせれば答えになるので、(時間をかけ過ぎない様にしつつ)あきらめない様にしましょう。

その他の勉強の科目については以下を参照して下さい。
 短答式試験攻略法 (企業法)
 短答式試験攻略法 (管理会計論)
 短答式試験攻略法 (監査論)

短答式試験攻略法 (監査論)

短答式試験の科目別の攻略法です。
私の合格までの実体験を一読して頂ければ分かる通り、私はかなり省エネで合格しています。
私の勉強法を真似してもらえれば、かなり楽に合格できるのではないかと思います。
監査論

科目の特徴
予備校の回答速報でも答えが割れる愚問が多いです。 この監査論勉強した人達が監査した東芝もオリンパスも大王製紙も不正会計やりたい放題の意味のない学問、と思ってしまうとストレス溜まる科目。

勉強法

実は、TACの授業全部寝ていました。なので、短答2週間前の時点で無勉強の状態でした。まずは配られた正誤問題集を無勉強の状態で解き、テキストの記載箇所を探して印を付けるということを繰り返しました。その際、単に知識を吸収するのではなく、監査論を作り上げた学者の頭の構造を理解してあげることを意識しました。その後で3回正誤問題集を繰り返し解き、最後にテキストを一通り読みました。総勉強時間は15時間程度だと思います。

試験問題の解き方

単に知識をアウトプットしようとするのではなく、監査論を作り上げた学者の気持ちになって問題を解く様にしました。

その他の勉強の科目については以下を参照して下さい。
 短答式試験攻略法 (企業法)
 短答式試験攻略法 (管理会計論)
 短答式試験攻略法 (財務会計論)

短答式試験攻略法 (管理会計論)

短答式試験の科目別の攻略法です。
私の合格までの実体験を一読して頂ければ分かる通り、私はかなり省エネで合格しています。
私の勉強法を真似してもらえれば、かなり楽に合格できるのではないかと思います。

管理会計論 (計算)
管理会計論 (理論)

科目の特徴
人によっては極端に苦手な人がいる科目。原価計算編と管理会計編に別れます。
原価計算編は、無駄に複雑な計算が特徴。(私はやりませんでしたが)テキストや問題集をしっかり繰り返し練習していれば、頭の柔軟性に関係なく解ける問題。
管理会計編は覚えることが全くない代わりに、テキストで見たことのない問題も出て来やすく頭の柔軟性が求められます。問題文の指示が(出題者の日本語力に問題があり)二通りに解釈出来ることがあります。ただし、計算自体は驚く程簡単。

勉強法
計算
何のための科目なのかを意識しながら勉強して下さい。この科目の目的は、正確な原価を計算することと、予算を上手に立てられる様になることにあります。
教科書に載っている公式だとか、○○法の長所と短所みたいなテーブルを丸暗記しようとしている人がいますが、管理会計論のテキストに載っていることの中で覚えていなければダメな問題は全くありません。
計算の仕方が分からなくなったら、どうやれば正確な原価が求まるか、来年の利益を求めるには要するにどうすればいいのかを考えて下さい。
ちなみに、どうせ試験時間足りないので、管理会計か原価計算どっちかを切るのもありだと思います。
理論
予備校でもらう正誤問題を解いてテキストの記載箇所に戻るというのを試験直前に半日ほどやれば大丈夫です。

試験問題の解き方
どうせ試験時間足りません。全問無理して解こうとはしないで下さい。
私は理論を全部流した後で管理会計→原価計算の順でやりました。

その他の勉強の科目については以下を参照して下さい。
 短答式試験攻略法 (企業法)
 短答式試験攻略法 (監査論)
 短答式試験攻略法 (財務会計論)

短答式試験攻略法 (企業法)

短答式試験の科目別の攻略法です。
私の合格までの実体験を一読して頂ければ分かる通り、私はかなり省エネで合格しています。
私の勉強法を真似してもらえれば、かなり楽に合格できるのではないかと思います。

企業法
科目の特徴
一見覚えることが多い様に思えるが、結構論理的に答えを導き出せる科目。

勉強法
配られた正誤問題集を試験1週間前に3回ほど回しました。その際、テキストに戻って確認すると同時に、なぜ霞が関のお役人はそういう法体系を作ったのかに思いを馳せる様にしました。

試験問題の解き方
世の中こうあるべきと霞が関のお役人は考えているのではないか、と意識しながら問題を解きました。分からない問題があっても、決してあきらめないで下さい。

その他の勉強の科目については以下を参照して下さい。
 短答式試験攻略法 (管理会計論)
 短答式試験攻略法 (監査論)
 短答式試験攻略法 (財務会計論)

公認会計士試験合格にどの程度の勉強時間が必要なのか part 1

このページに書くことは、公認会計士試験だけに限らず、色んな事に応用できることだと思いますので、そのつもりで読んで下さい。

1 公認会計士試験合格に必要だと一般的に言われている勉強時間


公認会計士試験を受験したい、と少しでも思った皆さんが、最初に思う疑問は、何でしょうか?
  • 難易度はどうなのか?
  • 合格率はどうなのか?
  • どれ位勉強しないといけないのか?
そうですね。要は、どれ位大変なのか、を知りたいはずです。
まず、それについて実体験を交えて話をしたいと思います。
公認会計士合格に必要だと一般的に言われている勉強時間は4000時間です。(TACの教科書に書いてありました)
1年が8760時間です。毎日7時間眠って、食事・お風呂・移動等に3時間かけるとするとそれだけで3650時間なくなりますから、
もしこれが本当なら結構な時間が必要だと言われていることになりますね。
これを聞いただけで公認会計士受験をためらう人もいるかもしれません。
特に社会人にとってはこれだけの時間を確保するのは中々大変だと思います。
でも、これは本当なのでしょうか?

2 長時間勉強することの3つの弊害


結論を先に述べると、公認会計士試験に合格するのにこんなに勉強時間は要りません。
確かに、TACでも、「俺は昨日10時間勉強した。」とか自慢げに話している人は結構いました。
でも、皆さんの目標は何でしょうか?
「公認会計士試験に(できればいい成績で)合格すること」が目標であって、
「公認会計士試験の勉強を(無駄に)長くすること」が目標ではありませんよね。
それなのに、時間だけかけて試験勉強をした気になり満足するのはよくありません。
確かに、同じ人が100時間勉強するより200時間勉強する方が成績がよくなることが多いのは事実です。
ですが、思い出してみて下さい。
高校時代、高3の冬休みまで運動部で部活やっていた子が、平気な顔して東大理三に現役合格していきましたよね。
一方で、朝から晩まで塾に通っていても、東大はおろか、私大に現役合格できない子もいましたよね。
この様な差が生じるのは、勉強のコツを知っているか知らないかの違いによるものなのです。
コツを知っていれば、長時間勉強する必要はありませんし、このコツを知らないなら長時間無駄に勉強して勉強した気になるしかありません。
このコツを知らず、長時間勉強することには、3つの弊害があると思います。
  • プライベート(恋、楽しい学生生活、会社勤め、家庭、趣味)が犠牲になる
  • 勉強に使っているツールによってOverfitting (過剰適合)が行われてしまう
  • 根拠のない自信が養われてしまう

3 なぜ長時間勉強しないで済むのか


折角なので公認会計士風に考えてみて下さい。
例えば、会社で不正取引が行われていないという合理的な保証を得るために、皆さんは何をしますか?
その年度のその会社の取引全ての証憑書類を確認し、取引先全てに確認し、全ての在庫を実査しますか?
しませんよね。多分、一部の取引だけを取り出す試査により合理的な保証を得ると思います。
これはなぜかというと、
  • 監査上、時間・費用・人手等の制約がある
  • 財務諸表監査の目的が重要な虚偽表示の不存在に関する合理的な保証であることについて社会的な合意がある
  • 有効な内部統制が存在している
  • 統計理論/技術が発達している
という4つの理由によるのでしたよね。
同じことです。
  • リアルの人生を楽しむための制約がある
  • 公認会計士試験にいい成績で合格するのが目的であるという社会的な合意がある
  • 効率のいい勉強法を知っている
  • (例え同じ知識量でも)試験場で問題を解くスキルが高い
だから、より軽減された勉強によって公認会計士試験に合格できるのです。
この効率のいい勉強法や、問題を解くスキルについては、長くなるので別の記事で紹介させて頂きます。

4 私が公認会計士合格までに勉強に費やした時間


長くなるので 公認会計士一発合格までの時間の使い方と成績推移(社会人の実体験) で、どういう時間配分で勉強したか等については書かせて頂きましたが、
私は公認会計士試験合格までに、TACの授業で600時間程度、答練やアクセスや模試の受験で250時間程度、授業や模試以外の時間(つまりTAC以外での勉強時間)で600時間程度、合計1450時間程度を勉強に費やしました。
2年で合格を目指すとすると、1日2時間程度なので、そこまで大変じゃないと思います。

5 公認会計士合格に本当に必要な時間


公認会計士試験合格に必要な勉強時間の目安は何時間程度でしょうか?
実体験を踏まえた上で、目安として以下の数式を私は提案したいと思います。
 必要な勉強時間 = (4000 x A)時間
  A : 勉強の効率ファクター
   0.4 : とても効率のいい勉強法 (東大理三・京大医学部合格レベルをイメージ)
   0.6 : まあまあの勉強法 (東大・京大現役合格レベルをイメージ)
   0.9 : 普通の勉強法 (早慶合格レベルをイメージ)
   1.2 : 効率の悪い勉強法
ただ、大切なことは、この数式で必要とされる時間勉強することではありません。皆さんが意識するべきことは、勉強の効率を上げることです。

6 最後に


公認会計士試験だけに限りません。中学受験、高校受験、大学受験、司法試験、何でもそうだと思います。
公認会計士試験に合格するための勉強時間は、出来る限り短くすることを私はオススメします。
効率のいい勉強法、問題を解くスキルって何か?については、この記事に書くと長くなってしまうので、別の記事で書いていきたいと思います。

2016年11月11日金曜日

自己紹介

私は国立理系出身のアラサー社会人"PAC ORANGE"です。
ふとしたことから公認会計士試験を受験し、49位で一発合格しました。
その際の経験を公開することで、公認会計士を目指す人のみならず、あらゆる人のお役に立てるのではないかと考えてこのブログを開設しました。

  ・公認会計士試験を受けたきっかけ
  ・公認会計士試験に合格するに当たってのテクニック

そんなことをまずはお話しさせて頂けたら、と思っています。

お忙しい中、このホームページを見に来た皆様のお役に立てれば、幸いです。
よろしくお願いします。