2016年12月25日日曜日

社会人が働きながら公認会計士試験に一発合格するには 

公認会計士を社会人が目指すということについて、社会人である私の実際の合格体験を踏まえて今日のブログでは考えたいと思います。
私は理系修士卒の30代の社会人で、社会人になってから今まで会計や経理とは全く関係ないことを仕事にしてきました。ある時、公認会計士になろうと思い立ちました。なので、公認会計士を目指そうかどうしようか、仕事を続けようかどうしようか、といった社会人特有の悩みも、おれ理系なんだけど、という悩みも、俺結構年取ってるんだけど、という悩みもよく分かり、皆さんのお役に立てるのではないかと思います。
また、学生時代に公認会計士試験の勉強をしていて挫折し社会人になってからリベンジする人がよくいますが、私は違います。完全に初学者です。そこから、1.5年で一発合格しました。本試験の順位は49位でした。きっと、私の勉強の仕方を真似すれば、社会人だけではなく学生の皆さんも上位合格出来るものと考えています。
このブログが皆さんの助けになれば幸いです。 ちょっと長い記事になりますので目次から好きな所に飛んで下さい。
  1. 公認会計士の仕事
    1. 公認会計士の多様な仕事内容
    2. なぜ財務諸表監査が公認会計士の独占業務なのか?
    3. 三大国家資格の1つ
    4. 公認会計士は依頼主ではない人の利益のために働く
    5. 公認会計士が自動的に出来る他の仕事
    6. 公認会計士の年収
    7. コーポレート・ガバナンス強化と公認会計士の役員就任
    8. 公認会計士の転職
    9. 公認会計士の要件
  2. 公認会計士試験の概要
    1. 受験者数と合格率
    2. 受験者の母集団
    3. 短答式と論文式
    4. 科目免除
    5. 科目合格
    6. 各科目の難易度
    7. 公認会計士試験の難易度
    8. 他の会計系資格との難易度比較
  3. 合格までに必要な勉強時間の目安
    1. 一般的に言われている必要時間と本当に必要な時間
  4. 予備校か独学か、通学か通信か?
    1. 費用
    2. 予備校のカリキュラム
    3. 通学と通信と独学
    4. 予備校の比較(特色・評判)
    5. おすすめの予備校
  5. 社会人は働きながら公認会計士試験に合格できる!
    1. 働きながらは無理だという誤った結論の根拠
    2. 公認会計士受験業界がなぜ社会人に冷たいのか?
    3. 働きながら公認会計士試験には合格できる
  6. 仕事を辞めるべきか?
    1. 受験に専念するのはリスクが高い
    2. 監査法人の待遇が本当に良いかは疑問
    3. 監査法人の働き方は一般の事業会社の働き方と異なる
    4. 受験に専念したら合格出来て当たり前
    5. 仕事と公認会計士試験を両立させられる人は、どんな仕事も要領良くこなせるはず
    6. 退職するのはいつでも出来る
  7. 公認会計士は目指す価値があるのか?
    1. 監査法人に転職したい場合
    2. 監査法人に転職しない場合
  8. 働きながら合格するために (社会人が公認会計士試験に合格するための障害とその克服法)
    1. モチベーションの維持と継続性
    2. 勉強時間の確保
    3. 短答が難関
  9. 最後に

公認会計士の仕事

公認会計士の多様な仕事内容

まず、そもそもですが、公認会計士とは何でしょうか?
公認会計士(Certificated Public Accountant)とは、会計の専門家であり財務諸表監査を独占業務としています。また、財務諸表監査以外にもコンサルティング業務や税理業務も行います。組織内会計士として、経理・会計業務に携わったり、CFOとして経営に関与したりもします。

なぜ財務諸表監査が公認会計士の独占業務なのか?

株式や債券に投資する投資家は投資対象がどの程度利益を上げたか、財務基盤は良好かを知りたいものです。この情報を企業は財務諸表の形で投資家に提示しますが、投資家はその情報が虚偽なのではないかという疑問を持ちます。そこで、独立した立場から財務諸表の信頼性を証明する役割を担う(財務諸表監査を行う)人が必要になります。これが公認会計士です。
この財務諸表監査には高度な専門知識と独立性が要求されるため、公認会計士の独占業務となっているのです。 この様に公認会計士がいることで投資情報が信頼できるものになることから、公認会計士は「資本市場の番人」あるいは「資本主義経済のインフラ」と呼ばれています。

三大国家資格の1つ

公認会計士はこの様に重要な役割を担っているため、試験も難しく、医者・弁護士と併せて三大国家資格の1つとされています。
ちなみに、三大○○と言うのは、大抵三番目かどうか微妙な人が言い出すことが多いです。世界三大夜景といわれて日本人は三番目に函館や長崎を挙げたがりますが、世界的にはこういった日本の街は無名だったり。世界三大美女の三番目に小野小町が挙げられますが、小野小町は日本以外では無名だったり。ですので、三大国家資格と言わなければならない点に、公認会計士業界の苦悩が顕れていると見るべきでしょう。
しかし、三大かどうかは置いておくにせよ、公認会計士が立派な資格であることは間違いないです。

公認会計士は依頼主ではない人の利益のために働く

三大国家資格を取得した人はいずれの資格の場合でも「先生」と呼ばれます。ですが、その同じ先生と呼ばれる三大国家資格の中でも公認会計士の特徴は何でしょうか?
弁護士は依頼人から報酬をもらい依頼人のために法廷で戦います。医者は患者から料金を受け取り患者のために治療します。ですが、公認会計士は企業からお金をもらい投資家のために財務諸表監査をします。つまり、依頼人と利益の享受者が異なっている点が特徴的であり、この点にやりがいがあると言えるでしょう。

公認会計士が自動的に出来る他の仕事

公認会計士は税理士や行政書士に無試験で登録できます。つまり、公認会計士は税理士や司法書士の上位互換の資格であると言えます。公認会計士は会計系の最高峰の資格であると言われる所以です。

公認会計士の年収

厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査によれば、公認会計士・税理士の平均年収は718.8万円です。税理士を除くと少し増えると考えられるため、平均年収は800万円程度と推定されます。

コーポレート・ガバナンス強化と公認会計士の役員就任

日本の株式市場は従来閉鎖的でしたが、これを国際化しよう、外国資本の日本への投資を呼び込もう、という動きが昨今活発です。この国際化を達成するためには、外国投資家が日本企業を信頼する必要があります。このため、コーポレート・ガバナンスを強化し馴れ合い経営と決別する必要があります。公認会計士はこのコーポレート・ガバナンスを支える人材としての期待が高く、取締役や監査役の選任に際して考慮されることが今後増えていくでしょう。

公認会計士の転職

監査法人への転職

今は監査法人全入時代ですから、試験に受かれば4大監査法人のどこかは拾ってくれます。

監査法人以外への転職

公認会計士という資格は、会計に関してのスペシャリストである証明になる訳ですから、一般の事業会社への転職に際してもこの資格は役に立つことは自明です。

公認会計士の要件

最後に「公認会計士」と名乗るための要件を一つずつ確認しておきましょう。
  • 公認会計士試験合格
  • 実務補習修了
  • 修了考査
  • 2年間の実務経験
  • 年間10万円以上の年会費を払うこと

公認会計士試験に合格すること

5つの要件の中で群を抜いてハードルが高いです。

実務補習修了

試験合格後、1~3年間補習所に通う必要があります。ただ、3年間で300時間程度なので、公認会計士試験の勉強(2年間で1500時間程度)と比べれば大したことはないでしょう。

修了考査

実務補習所の卒業試験の様なものです。合格率は70%程度と高く楽勝の試験の様に思えますが、その分落ちるととても恥ずかしいです。

2年間の実務経験

会社で2年間経理や予算編成に携わればいいです。

年会費を払うこと

監査法人なら法人が出してくれますが、一般の事業会社であれば出してくれない会社も多く、公認会計士を名乗る上で2番目の障害が年会費の負担であると言えると思います。

公認会計士試験の概要

続いて公認会計士を名乗る上で最大の難関である公認会計士試験の概要を見て行きましょう。

受験者数と合格率

平成28年度の公認会計士試験の受験者数は10,256人で、短答式(一次試験)の合格者数は3138人(合格率30.6%)、論文式(二次試験)で1108人(論文式単体で合格率35.3%、短答式と合わせて10.8%)です。受験する母集団が異なるため合格率だけで単純に比較出来ませんが、合格率だけを見れば最新の第143回簿記1級の10.9%と同程度で、異常に難易度が高い訳ではないです。

受験者の母集団

首都圏の中学歴私大生もしくは中学歴国立大生が多いです。公認会計士試験を受けようとするこの私大生達は頭の回転がやや遅いものの非常に真面目で青春を投げ出す長時間の勉強を苦にしない、という特色を持ちます。こういう方が受けた上での合格率10.8%は結構低い数字と言えそうです。

短答式と論文式

先ほどほのめかした通り、公認会計士試験に合格するにはは短答式試験(一次試験)と論文式試験(二次試験)の2つの試験を突破しなければなりません。
短答式試験はマークシートで毎年12月と翌年の5月に開催され、どちらかに合格すると論文式試験を受験することが出来ます。科目は財務会計論(40%)、管理会計論(20%)、企業法(20%)、監査論(20%)の4科目です(カッコ内の割合は総得点に対して占める割合です)。各科目の合計で約70%を取る必要があります。(受験生の出来によって多少の上下はありますが)絶対評価と言っていいでしょう。ただし、足切りがあり、40%を下回る科目が1つでもあるとダメなことがあります。
論文式試験は記述式で毎年8月のお盆明けに開催されます。科目は会計学(43%)、企業法(14%)、監査論(14%)、租税法(14%)、選択科目(14%)です。会計学は事実上財務会計論と管理会計論の2科目と考えて良いため、全部で6科目です。選択科目は経営学、経済学、民法、統計学から選択です。(選択科目の選び方という記事も書いてますのでご覧下さい。)論文式試験は偏差値52点以上の人が合格する相対試験ですが、偏差値40点を下回る科目が1つでもあるとダメです。
ご覧の様に科目数が多く大変です。

科目免除

以下に列挙する一部の方は受験科目を減らせますが、該当する人は少ないと思います。また、そもそも以下に該当するような人は科目免除してもらわずに、その科目を受けて他の受験生に差を付けた方がいいと思います。
  • 大学で商学や法学や経済学の教授や准教授をやっているか、博士号を持っている
  • 司法試験合格者である
  • 税理士になる資格を有するか、税理士で科目合格している
  • 不動産鑑定士試験に合格している
  • MBAを持っている
  • 会計または監査に関する業務に7年以上従事している

科目合格

税理士試験と同様科目合格制度があり、各科目で公認会計士監査審査会が決めた点以上取れば科目合格出来ます(平成28年だと偏差値55.7点でした。)が、税理士との根本的な違いがあります。税理士試験では科目合格が永遠に有効なのでゆっくり何年でもかけて勉強が出来ますが、公認会計士試験の科目合格は2年間しか有効ではないのでその短期間に全科目を仕上げる必要があります。

各科目の難易度

各科目で出てくる問題1つ1つはそこまで難しくはありません。テキストを見れば答えが載っている様な問題がほとんどです。ですが、試験範囲が広いため、試験会場で正しく答えるのは必ずしも簡単ではありません。

公認会計士試験の難易度

以上をまとめると、公認会計士試験は難しい訳ではないが科目数が多いため上手に要領良く勉強する必要があり、受験生の総合力が試される大変な試験だと言えます。

他の会計系資格試験との難易度比較

公認会計士は税理士と行政書士になれると前述しましたが、試験自体の難易度を同じ会計系資格で比較しておきましょう。

税理士

公認会計士の次に難しい会計系の資格です。受験者数は延べ70,000人程度、合格率は10~20%程度です。ただし、時間的な制約のない科目合格制度があるので税理士資格を取ること自体は公認会計士取得と比べると簡単でしょう。

簿記検定

一番お手軽な会計系の入門に位置付けられる資格です。簿記1級だと受験者数が年間で延べ20,000人程度、合格率が10%程度です。
簿記はお手軽ですがなめてると意外と難しいです。単純に仕訳のややこしさで評価するなら、公認会計士試験や税理士試験よりも簿記1級の方が難しいかも知れません。ただし、試験範囲が狭く試験時間も長めであることから、会計系資格の中では取得が一番容易です。

合格までに必要な勉強時間の目安

一般的に言われている必要時間と本当に必要な時間

一般的に言われている必要時間

公認会計士試験に合格するためには4000時間必要だと一般的には言われています。毎日8時間を睡眠や食事などで使うと考えると、それ以外の時間は1年で5840時間です。社会人の正社員だと、仮に残業が0時間だとしても、1800~1960時間は働きます。もし本当に4000時間必要なら、2年で合格するためには1年に2000時間勉強する必要がありますので、会社での労働時間とほぼ同程度の時間を勉強に費やす必要があり、結構な負担だと言えるでしょう。

本当に必要な時間

ですが、私は仕事で会計に関わっていないにも関わらず、1.5年で合格しました。その実体験から、効率良く勉強すれば1500時間程度(予備校のカリキュラム以外で600時間程度)勉強すれば2桁順位で合格できると考えています。会社で経理業務をやっていたりすれば、もっと少ない勉強時間で上位合格できるでしょう。下位合格でよければ、勉強時間を更に削れます。
これなら勉強期間2年を前提とすると、平日1時間、土日祝日4時間の勉強で十分です。これ位なら、社会人でも、残業があっても、家族があってもなんとかなりそうではないでしょうか?
詳しくは公認会計士試験合格にどの程度の勉強時間が必要なのか?を読んで下さい。 また、合格体験記という程しっかりしたものではありませんが、公認会計士一発合格までの時間の使い方と成績推移に私の実際の時間の使い方を記載させて頂いております。

予備校か独学か、通学か通信か?

公認会計士試験の勉強をするには、予備校に通うか通信か独学かの3通りの方法があります。

費用

選んだ予備校と何年コースかにもよりますが予備校に通った場合は、受講料で40~70万円、参考書・教材代で1~5万円程度だと思います。独学の場合は、参考書の入手で10万円、問題集の入手や模試の受験で10~15万円程度だと思います。つまり、独学の場合は30~50万円程度安く済ませることが出来ます。

予備校のカリキュラム

多くの予備校では1~2年コースを準備していますが、学生を含めて1.5~2年コースで勉強することが一般的です。授業時間は600~900時間です。

通学と通信と独学

通学のメリット

  • 学生の受験生のレベルが低いことが確認できる
    • 公認会計士試験のテキストは難しいです。通信や独学だとこれを全部理解するのか・・・と思ってげんなりすると思います。でも、予備校に通うと、みんなあんまり理解できておらず、ただ丸暗記している受験生が多いことに気付くはずです。それに気付くと安心出来ます。
  • やる気がなくても授業時間に勉強できる
    • 私の様にモチベーションが低い受験生は、予備校で授業がないと勉強しません。そういう人は取り敢えず授業だけでも受けておけば、授業時間は勉強したことになります。
  • どの論点が重要かがよく分かる
    • 独学だと参考書のどこが重要かがよく分からないかも知れません。ですが、予備校はその独自の研究に基づいて重要論点を強調しながら授業してくれます。

通信のメリット

  • 残業があってもなんとかなる
    • 自分のペースで勉強できるというのはメリットです。一方で、モチベーションの高い人でないと勉強のペースが乱れる可能性があります。

独学のメリット

  • お金がかからない
    • 教材代を考えるとそこまで安くなっている訳ではありませんが、初期投資額をある程度抑えられていることは事実だと思います。
  • 残業があってもなんとかなる
    • 通信と同じですね。

予備校比較(特色・評判)

大原

  • 受講料 60~75万円
  • 校舎数 39校
  • 合格実績(2015年) 381人/受講生 推計2200人
  • 合格実績(2016年) 406人/受講生 推計2200人
  • 予備校最大手の1つ
    • 最大手であるため、講師の人数も多く試験委員の研究も行きとどいています。そのためテキストの質は高いです。
    • 後述しますが、素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、出来不出来が割れる問題を解いた人よりみんなが出来る問題を解いた人の方が合格可能性高くなります。ということは、受験生の大多数と同じ教材を使って勉強している方が有利です。
  • 講師は必ずしも公認会計士試験合格者とは限らない
    • 公認会計士試験に合格していなくても教えている科目に秀でていれば問題ないという考え方の様です。それはそれで一理あります。
  • 講師が校舎に常駐している
    • 公認会計士でない人が講師をしているため、授業をしていない時に講師が校舎で質問を受けることができます。

TAC

  • 受講料 65~80万円
  • 校舎数 : 35校
  • 2015年合格実績 : 372人/受講生 約2,000人
  • 予備校最大手の1つ
    • 最大手の1つであるため、講師の人数も多く試験委員の研究も行きとどいています。そのためテキストの質は高いです。
    • 後述しますが、素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、出来不出来が割れる問題を解いた人よりみんなが出来る問題を解いた人の方が合格可能性高くなります。ということは、受験生の大多数と同じ教材を使って勉強している方が有利です。
  • 講師が基本的に公認会計士試験合格者である
    • 公認会計士試験に合格した人が講師をしているので、その科目だけではなく全体的な勉強の仕方についても相談できるでしょう。また、公認会計士の実務の話も雑談で聞けるので、合格後のイメージが湧くと思います。
  • 講師が校舎に常駐していない
    • 公認会計士の人が講師をしているため、授業をしていない時には講師の方は別のお仕事をされており、校舎で質問ができる時間が限られています。

東京CPA会計学院

  • 受講料 80万円程度
  • 校舎数 : 2校
  • 合格実績(2016年) : 95人/受講生 推計400人
    • ホームページをみると、合格率は47.3% (95人/201人)と一見高そうですが、この一見高そうな合格率には裏があります。分母が全受講生ではなく、カリキュラムの出席率が高かった受講生のみになっています。短答までのカリキュラムには頑張って出席していたけど短答がダメだった62人や、出席率が低い受講生150人程度が分母に含まれていないと推定すると、受講生は400人程度で合格率は20%程度だと思います。
  • 慶應義塾生御用達の公認会計士予備校。慶応義塾生のために存在していると言ってもいいでしょう。慶應義塾生でなければおすすめしません。
  • 講師が基本的に公認会計士試験合格者である
    • 公認会計士試験に合格した人が講師をしているので、その科目だけではなく全体的な勉強の仕方についても相談できるでしょう。

LEC

  • 受講料 60万円
  • 校舎数 : 33校
  • 合格実績 : 非公表 (推計 30人程度?)
    • 合格実績非公表です。公表できないということは、大原、TAC、東京CPAより1ランク落ちると見ていいでしょう。また、2016年の合格者1100人の内900人程は既に大原、TAC、東京CPAで占められており、残りが200人程であることを考えると合格者数は30人程度と推計します。
  • 短答式合格前と合格後にカリキュラムが分けられている
    • 短答でのギブアウェイが発生するため、勉強の効率という点を考えるとこれは効率悪いです。
    • 一方で、カリキュラムが分けられているということは、最初に払う授業料が安いということでここは魅力です。
  • 入門期と上級期で講師が変わる
    • 異なる教え方に触れられるという意味でこれはいい点だと思います。
  • 短答式の解答速報が間違っていたということがよくあるそうです。

クレアール

  • 受講料 40~65万円
  • 校舎数 : 1校
  • 合格実績 : 非公表 (推計 15人程度)
    • 合格実績非公表です。公表できないということは、大原、TAC、東京CPAより1ランク落ちると見ていいでしょう。ホームページに合格祝賀会の写真が載っていますが、結構こじんまりしており、合格者の少なさを伺い知ることが出来ます。
  • 非常識合格法とスピーチというなんだか少し怪しげなことを唱えていますが、ここに通った人の話を聞いたことがないのでどんなことをしているかよく分からないです。
  • 受講料がとにかく安い

おすすめの予備校

それぞれの予備校の特色を見てきました。ここで、どの予備校を選ぶべきかのポイントを書き並べます。参考にして下さい。

生活圏に近い予備校

学生であれ社会人であれ生活圏に近い予備校は便利ですが、特に社会人は生活圏に近い場所にある予備校を選ぶべきです。後で述べますが、社会人にとって最大の難関は継続性です。予備校が家から遠いと、それだけでサボりたくなります。なので、生活圏に近い予備校を選びましょう。

大手の予備校(大原かTAC)

素点ではなく偏差値で合否が決まる公認会計士試験では、周りが出来る論点は出来る様にしておくというのが結構重要です。なので大手の予備校を選んで周りと同じ教材を使うというのは効果的です。
また、大手であるということは、教材や指導内容の決定も会議を通じて決定しているため、指導内容に偏りが生じにくいということです。これもいい点だと思います。
大原とTACで迷う時は、先生に質問したいなら大原、実際に試験に受かった人に習いたいならTACと決めればいいでしょう。

短答式用と論文式用でカリキュラムが分かれていない学校(大原かTAC)

短答式の成績は(本人を含めて)誰にも分かりません。である以上、短答は合格できさえすればそれで十分ですし、それ以上の勉強は無駄です。その意味において、短答式と論文式でカリキュラムが分かれていない予備校がいいでしょう。

安く済ませたいならクレアールかLEC

どうしても安く済ませたいなら、クレアールかLECにするといいでしょう。

パンフレットや無料相談会が気に入った予備校

色々書きました。書きましたが、結局最後はあなたに合うかどうかです。パンフレットの取り寄せや相談会への参加は無料です。そこで気に入った学校を選ぶのがいいと思います。

社会人は働きながら公認会計士試験に合格出来る!

働きながらは無理だという誤った結論の根拠

公認会計士がどういうもので、試験の難しさがどの程度かが分かったところで、社会人の皆さんは次の疑問を持つはずです。
 「公認会計士試験には働きながら合格出来るのか?」
この質問に対しては以下の様な理由を並べて否定的な見解を述べる人が多いです。
  • 働きながらでは勉強時間を確保できない
  • 社会人になって年を取ると記憶力が低下する
  • 背水の陣を敷かない社会人は本気度が低い
予備校で受講相談すると、社会人であると言うだけで受付の人が小バカにすることすらあります。
でも、本当に社会人に公認会計士試験合格は無理なのでしょうか?

公認会計士受験業界がなぜ社会人に冷たいのか?

それは、社会人には公認会計士は無理、と言うのが、全員が望む答えだからです。
  • 勤勉な学生
    • 必死で勉強しているのに、社会人が片手間で勉強して合格するとプライドが傷つく
  • 親に言われて予備校に通っているけれど公認会計士に興味のない学生
    • 社会人が片手間で勉強して合格すると親に言い訳出来ない
  • 社会人
    • 社会人は大変だね、と言ってもらうことで落ちた時、あるいは受験を諦める時の言い訳になる
  • 予備校
    • 20代の講師にとって年上の受講生は教えにくい
  • 公認会計士試験合格者
    • 社会人で合格できるとなると自分達の資格の価値が下がる気がする
5者の利害関係が完全に合致しているから、働きながら公認会計士試験には合格できない、と今までされてきたのです。

働きながら公認会計士試験には合格できる

会計に触れたこともなかった30代の私が勉強時間が圧倒的に少なくても上位合格したことが、社会人受験が難しいという見解が誤っていることを証明しています。時間が足りなくても勉強の仕方次第で克服できます。社会人になると記憶力が低下するのではなく、集中して勉強できなくなるだけです。集中して勉強すれば何とでもなります。本気度が足りない人は学生でも落ちます。社会人であると言うことは言い訳にはなりません。

仕事を辞めるべきか

「働きながら公認会計士試験に合格できる」と言われても、会社を辞めて受験専念するかどうかを悩む社会人の方もいるかも知れませんが、働きながら受験することを以下の理由でおすすめします。

受験に専念するのはリスクが高い

リスクと言うのは、公認会計士試験に落ちるリスクではありません。公認会計士業界が変化するリスクです。
公認会計士業界の浮沈は完全に一般の事業会社の業績に依存しています。景気が良くベンチャー企業のIPOもバンバン通っている時であれば、公認会計士業界は仕事が多いでしょうが、景気が悪くなれば仕事は減るでしょう。そうすれば当然監査法人の採用枠も減るはずです。
一般の事業会社への転職であれば、転職すると決めてから転職が決まるまでに早ければ1ヶ月もかからないでしょう。その間に景気が悪くなる確率はそこまで高くないかもしれません。それでも、「俺、転職活動に専念するから会社辞めるわ」とはならないはずです。
公認会計士試験の場合、勉強を始めて、試験を受けて、数か月後結果が出て、監査法人の内定をもらうまでに1~2年以上の時間がかかります。一般の転職活動よりも期間が長くリスクが高いのに、「俺、公認会計士試験勉強に専念するから会社辞めるわ」となるのはおかしいと思います。

監査法人の待遇が本当に良いかは疑問

公認会計士の年収は高い、と言われていますが、それは本当でしょうか?
厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査によれば、公認会計士・税理士の平均年収は718.8万円です。確かに高い方でしょうが、一流上場企業であればこの程度を出してくれる会社はそれなりにあります。例えば、トヨタ自動車の平均年収は800~900万円です。そういう会社への転職と天秤にかけた時に、それでも監査法人が本当に良いかは難しい質問だと思います。

監査法人の働き方は一般の事業会社の働き方と異なる

一般の事業会社にお勤めの皆さんは、多分、長時間労働することが素晴らしいとは考えていないでしょう。生産性の高い効率の良い仕事の仕方についていつも考えているはずです。
しかし、監査法人は、長く働けば働くほど素晴らしいという昭和な(ややブラックな)考え方が支配しています。そのやや時代錯誤な考え方に抵抗がある場合、監査法人勤務は合わない可能性があります。

受験に専念したら合格出来て当たり前

仕事と公認会計士試験を両立させられる人は、どんな仕事も要領よくこなせるはず。

会社を辞めれば時間が無尽蔵にあるので、公認会計士試験は誰でも受かるでしょう。ですが、仕事と公認会計士試験を両立させるためには頭を使わなければなりません。それが出来るということそのものに価値があると私は思います。

退職するのはいつでも出来る

どうしても監査法人に転職したいのであれば、そして受験専念しないと合格できそうにないのであれば、どんなに私が止めても会社を辞めるはずです。そもそもこのページを読みには来ないでしょう。このブログを読んで悩んでいるのであれば、受験専念する必要はまだないのです。まずは仕事との両立を目指して、会社を辞めるかどうかはその後で考えればいいのです。

公認会計士は目指す価値があるか

公認会計士の仕事・試験制度の概要が分かり、働きながら合格できるということを踏まえた上で、公認会計士という資格は目指す価値があるのでしょうか?
あると私は思います。

監査法人に転職したい場合

説明不要ですね。監査法人に就職するには公認会計士試験合格が必須です。

監査法人に転職しない場合

監査法人に入って監査をしたいという人にとってはもちろんですが、そうではなく事業会社で生きていくつもりの人にとっても、以下の理由で公認会計士という資格は役に立つと思います。

公認会計士の資格はエルメスの鞄である

公認会計士という資格は、会計・監査について会社の中での第一人者になれる素養があることの客観的な証明になります。
エルメスの鞄を持っていることがお金持ちであることを示唆する様なものです。この資格を活かして、将来的にCFOとして働くことも出来るかも知れません。

コーポレート・ガバナンス強化という時代の流れにふさわしい資格である

公認会計士はコーポレート・ガバナンスを支える資格なので時代の流れに合致しており、役員への就任に役立つかもしれません。

公認会計士の資格がセーフティーネットになる

今監査法人に転職するつもりがなくても、公認会計士という資格はセーフティーネットとして機能しますので、リスクの高い仕事にチャレンジしやすくなるでしょう。

公認会計士資格取得に際して出会った新しい考え方や人脈は宝物になる

公認会計士資格取得に際して出会った人達は、みんな日本の会計業界を支えている人達です。そういう人との出会いは人生を豊かにしてくれるでしょう。

働きながら合格するために (社会人が公認会計士試験に合格するための障害とその克服法)

モチベーションの維持と継続性

障害1 モチベーションの維持と継続性

社会人が公認会計士試験の勉強をする上でモチベーションを維持するのは難しいです。
  • 既に収入があるので合格しないでも生きていける
  • 学友が少なく勉強が孤独になる
モチベーションが維持できない結果として、継続性が保てません。
しかし、これは問題です。
マラソンを走ったことがある方はご存じだと思います。走り続けている限り、どんなに遅くてもそれなりのペースでゴールまでたどり着けます。 しかし、25km地点を過ぎてくると歩きたくなります。立ち止まりたくなります。「あの電柱まで、電柱までだけ歩こう。10秒だけ、10秒だけ立ち止まろう。」そう思ったが最後、再び走り出すにはそれまで以上の精神力が必要となり、ゴールまでたどり着けなくなります。
勉強もそれと同じことです。継続性を失うと勉強も上手く行きません。
どんなにゆっくりでもいいんです。毎週少しずつ勉強することが大切です。

対策

  • 予備校で学友を作る。
    • 学友を作ると、その学友の手前恥ずかしい成績が取れなくなりますので、モチベーションの維持に役立ちます。
  • どんなにサボっても授業だけは出席or視聴する。
    • 毎週少しずつ勉強することが大切です。

勉強時間の確保

障害2 勉強時間の確保

結婚していれば家事育児もやらなければなりません。試験直前に緊急の仕事で残業を命じられることもあるでしょう。社会人であると言うことは、勉強に専念できないと言うことです。

対策

  • 効率の良い勉強を意識する (時間が確保できないなら効率を上げるしかありません)
    • 理解を重視することで反復回数を減らす
      • 反復練習は、失敗体験を通じて記憶を体に刻み込むのに有効ですが、社会人に失敗体験を積み重ねている時間はありません。しっかり理解することで反復回数を減らしましょう。
    • 重要論点を重視する
      • 重要論点は、ただ頻出するだけではありません。周りのライバルは正解してしまいます。つまり、重要論点を落とすと、みんなが取れる問題を落とすことになります。
        みんなが正解する問題を落としてはいけない、とよく言いますが、これには以下の3つの理由があります。なので、重要論点は重視しなければならないのです。
        • 頻出である
        • 覚え易い論点である
        • 偏差値に影響する
          • 受験生によって出来がバラバラの問題を落としても、偏差値はそんなに低くなりません。しかし、みんなが取れる問題を落とすと偏差値は激減します。つまり、偏差値で合否が決まる公認会計士試験において、みんなが取れる問題を落とすことは致命傷になります。
    • 人生経験と結び付けて勉強する
      • 社会人の皆さんには豊富な人生経験があるはずです。なので、公認会計士試験の勉強を実際の社会経験、過去の経済ニュースと結び付けてできるはずです。そうすることで、理解が深くなるでしょう。
  • 家族とよく相談する
    • 勉強しようと思っている休みの日に、子供から「遊んで」と言われると勉強できません。家族の理解・協力がなくては、公認会計士には合格できませんので、家族とよく相談して下さい。

短答が難関

障害3 短答が難関

勉強時間の観点からも確かに短答は難しいです。ただ、これは効率のいい勉強をすればなんとかなります。社会人にとって短答が難関となるのは別の理由が主になると思います。
社会人の仕事は辛いです。ですが、社会人の皆さんが事業会社でやる仕事はいずれも結果が目に見えます。実社会に役立っています。営業の皆さんが頑張れば、商品が店頭に並びます。予算編成を担当している皆さんが頑張れば、来年の予算配分がより効率的になり会社の収益が良くなるでしょう。技術畑の皆さんが頑張れば、より良い品質の製品がより安く店頭に並びます。この意味において、社会人の仕事は辛いですが楽しいです。
しかし、短答式の勉強はつまらないです。無意味です。(勉強の仕方にもよりますが、)ただ覚えるだけの作業になり易いです。価値のある仕事をすることに慣れた社会人にとって、短答の勉強は苦痛です。

対策

  • 実体験や新聞の記事と絡めて短答の勉強をする
    • こうすることで効率の良い勉強にも役立ちますし、つまらない暗記作業がちょっとだけ楽しくなります。
  • 短答の勉強は重視し過ぎない
    • 論文式試験の場合は成績が送られてきますが、短答でいい成績だったかどうかは(本人を含めて)誰にも分かりません。自己採点をしたところで、その採点結果が合っている保証はないです。分かるのは唯一合格しているかどうかです。であれば、短答式で全問正解することは無駄です。短答式試験は合格最低点を取ればいいんです。
  • 割り切って考える
    • どうしても興味が持てない場合は、短答式の勉強は修行みたいなものだと割り切って考えて勉強するしかないかもしれません。

最後に

この記事を読んで公認会計士が少し魅力的に思えたけれども予備校の受講料が高く目指す踏ん切りがつかない方も多いと思います。その気持ちはよく分かります。
そういう方は簿記2級の試験を受けてみて下さい。簿記は会計系資格の入門と位置付けられる資格です。簿記の試験はテキスト代も安いですし、必要勉強時間も短いです。独学でもなんとかなるレベルです。
簿記の勉強を通じてそれなりに会計のことを理解できそうだと感じられたら、それから公認会計士試験を目指すのでも遅くはありません。
簿記がなんとかなれば公認会計士試験に合格することはたやすいと思います。

この記事を読んで公認会計士試験を受けてみたいと思った方は、このサイトからじゃなくてgoogleから検索してで構いませんので予備校の資料請求をすることをおすすめします。
公認会計士の資格がなくても、社会人の皆さんは生きていけます。ですが、公認会計士の資格があることで新しい人生が拓けるはずです。皆様の合格をお祈りしております。

2016年12月24日土曜日

選択科目別合格率 (独自集計)

公認会計士試験の選択科目の選び方については「公認会計士試験 選択科目の選び方」という記事で詳細記していますが、で、結局どの科目が合格率高いの?という疑問を持つ方も多いと思います。しかし、選択科目別の合格率は公開されていません。
ですが、公認会計士監査審査会が公表する情報から選択科目別の合格率を推計することが出来ます。そこで、私が独自集計した選択科目別合格率を公開します。上記選択科目の選び方の記事と併せて参考にしてみて下さい。
なお、昨年以前に短答式を既に合格した人を母集団とした場合、科目合格の数の影響で比較が公平でなくなります。また、本ブログでは読者の皆様に一発合格してほしいと考えることから、母集団は今年短答式を受験した人としています。
  • 選択科目別合格率集計の方法
    • 受験番号が選択科目で分けられていることを利用する
    • 公認会計士監査審査会が公表する合格者の受験番号を利用する
    • 選択科目の科目合格者の受験番号でクロスチェックする
選択科目別合格率 (平成28年)
選択科目受験者割合論文式試験合格率
第1回短答式合格者第2回短答式合格者第1回/第2回合計
経営学80%53%22%40%
経済学7%38%13%25%
民法7%53%0%23%
統計学6%68%33%51%
ご覧のように統計学選択者の合格率の高さが際立っています。また、経済学や民法は選択科目の勉強が主要科目の勉強の障害となり合格率を押し下げていることが見て取れます。

2016年12月11日日曜日

公認会計士試験 選択科目の選び方

公認会計士試験受験において悩むことの1つは選択科目の選び方です。まだ何も勉強を始めていない予備校の申し込みをする時点で選択科目を決めますが、これは顔写真だけで結婚相手を選ぶ様なもので結構悩ましいです。 ただ、予備校に入った後でも選択科目はまだ変えられます。選択科目は短答式の出願願書に記載するため、12月短答の人は8月までに、5月短答の人は2月までに選択科目を決めればいいです。と言っても、論文式試験の大分前に戦いの条件を決めなければならない訳で、悩ましいのはやはり変わりませんね。そこで、今日は選択科目それぞれの特徴・選び方を考えてみたいと思います。
ちなみに私は最初は経営学選択のつもりでしたが、短答式の願書出願時に統計学選択に変更しました。結果的には統計学でいい成績を取ったので、良い選択だったと言えると思います。
  1. 論文式試験の特徴
  2. 科目免除について
  3. 各科目の特徴とタイプ別おすすめの科目
科目必要勉強時間 受験者数 特徴向いている人
経営学100~150時間 多い 数学不要
暗記量が多い
学問というより社会常識
試験範囲が曖昧
試験が運次第(リスク高)
過剰適合のリスク
受験者数が多い
彼女が作れるかも
数学が苦手な人
社会常識がある人
流され易い人
根拠なく安心したい人
占いを信じる人
運命の出会いを探している人
民法350時間 非常に少ない 数学不要
暗記量が非常に多い
試験範囲が膨大
授業が早期から始まる
社会で活きる基礎知識
受験生が少ない
法律科目に自信があるライバル
科目で大きな差が付かない
数学が苦手な人
暗記が得意な人
法律科目に馴染みがある人
モチベーションがある人
精神的に強い人
裁判中の人
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人
経済学300時間 少ない 数学必要
暗記量がやや多い
試験範囲が膨大
授業が早期から始まる
実社会で役に立たない
大学の必修科目の勉強には役立つ
受験生が少ない
他の受験生はモチベーションが高い
数学が得意な人
モチベーションがある人
精神的に強い人
実社会での実用性を重視しない人
大学の勉強に活かしたい人
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人
統計学60時間 少ない 数学不要
小学6年生レベルの「算数」は必要
頭の柔軟さが必要
試験範囲が極めて狭い
覚えることが少ない
論文式試験の合格率が一番高い
統計的思考力が身に付く
受験生が少ない
楽をしたい人がライバル
数学が苦手な人
「算数」が苦手ではなかった人
頭が柔らかい人
管理会計論を無勉強でそれなりの点取れる人
他の科目に時間を割きたい人
楽して合格したい人
賭け事が好きな人(=確率について考えるのが好きな人)
一人でも勉強できる人
祝賀金狙いの人

論文式試験の特徴

論文式試験の合否は素点ではなく偏差値で決まる

例えば、大学1年生が高校3年生に混じって九九の問題を解いて100点だった場合と、小学2年生に混じって微分・積分の問題を解いて、70点だった場合を考えましょう。九九の点数の方が素点は30点高いですが、偏差値は微分・積分の点数の方が高いです。なぜなら、九九の問題は周りも出来がいいのに対し、微分・積分の方は周りの出来が悪いためです。
この様に偏差値は受験生全体と比較した相対的な出来を表します。そして公認会計士試験において合否は偏差値で決まります。噛み砕いて説明すると、同じ科目を受験して、同じ採点官に採点される人の中で相対的にいい出来であることが重要だということです。と言うことは、過去問をパラパラと眺めて簡単そうな方を選ぶというアプローチは適切ではないと言えます。なぜなら、簡単で解けそうな問題は他の受験生もいい点を取るので偏差値が伸びないからです。

出来不出来が分かれる科目で悪い点を取っても、出来不出来が分かれない科目でちょっと悪い点を取っても合格確率は同じ

民法、経済学は出来る人は出来て大きく差がつくから経営学選択にしなさい、という人は結構います。ですが、そういう人は、公認会計士試験のことを何も理解していません。公認会計士試験は、素点ではなく偏差値で決まります。そして出来不出来が分かれる科目で悪い点を取っても、出来不出来が分かれない科目でちょっと悪い点を取っても同じ偏差値になります。つまり、大きく差がつく科目で大きく差をつけられるても不利にはなりません。小さな差がつく科目で小さく差がつけられる場合と同じ点になるからです。

科目免除について

  • 商学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 経営学免除
  • 法学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 民法免除
  • 経済学の教授、准教授であるか博士号を持っている : 経済学免除
  • 司法試験合格者 : 民法免除
  • 不動産鑑定士試験合格者 : 民法または経済学免除
上記に該当する極一部の方は、該当する試験科目を選択することで、選択科目を科目免除することができますが、そういう人は少ないと思いますし、免除できるほどその科目が得意ならあえて免除せずその科目を受験し、貯金を作るのも手だと思います。

各科目の特徴とタイプ別おすすめの科目

色んなブログを見ると、皆さん取りあえず経営学をおすすめしているみたいです。民法、経済学は大変、統計学は数学の知識が必要・・・とか言って。ですが、統計学でいい成績を取った私が断言します。そんな適当な理由で経営学を選ぶのはもったいないです。
統計学は本来数学が必要な学問なはずですが、公認会計士試験で統計学のいい成績を取るのに数学の知識は全く使いません。 ジャガイモの栽培法を知らなくてもカレーが作れる様に、数学の知識がなくても統計学の問題は解けます。
なので、選択科目は経営学と決めてかからないで下さい。決める前にせめてこの記事を読んで下さい。どの科目も問題自体の難易度は同じなので、この記事を読んだ後に好きな科目を選んで下さい。
では、各科目の特徴と向いている人を見てみましょう。

経営学

経営学とは?

経営学は企業や企業経営について、経営管理と財務管理の両面から取り上げる科目です。経営管理の分野では、経営戦略、経営計画、経営組織、動機づけ・リーダーシップ・キャリア、コーポレート・ガバナンスといったキーワードに関連する分野が出題範囲となります。財務管理の分野では、資本調達形態、投資決定、資本コスト、資本構成、ペイアウト政策、運転資本管理、企業評価と財務分析、資産選択と資本市場、デリバティブとリスク管理といったキーワードに関連する分野が出題範囲となります。
時事的な問題が取り上げられることも多く、企業の最新動向にも注意する必要があります。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安200~250時間
私が推定する必要勉強時間の目安学生 150時間
社会人 100時間

経営学の特徴

数学が不要である

経営学は計算量も少なく数学が不要な科目と言えるでしょう。

暗記量が多い

経営学は暗記科目です。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に多少の影響が出るでしょう。

学問というより社会常識が問われる

経営学というか社会常識みたいな問題が結構あります。解けないのは社会人としてまずい様な問題が多い、と言えるでしょう。その意味で、学生の方は勉強する価値がありますし、社会人の方は勉強時間が節約できるでしょう。

試験範囲がよく分からない

社会常識が問われるということは試験範囲が膨大である(=よく分からない)と言うことです。従って勉強範囲が絞りにくくどんなに勉強しても全ての論点を網羅することが出来ません。満点を取ることは難しいでしょう。

予備校で勉強したことが試験に出るかは運

経営学の出題範囲は試験委員の先生の主観の影響を受けます。「ここを勉強するべき」と判断した部分を予備校がテキストにしてくれますが、そのテキストにする範囲は予備校によって違い、従ってアタリハズレで他の予備校の生徒と差がついてしまいます。そういうリスクのある科目です。

予備校で勉強しすぎると過剰適合が起きてしまう

予備校がテキストにした範囲は、試験範囲ではありません。予備校が試験範囲だと思い込んでいる部分がテキストになっているだけです。なので、予備校のテキストで勉強しすぎると過剰適合が起きてしまいます。試験範囲がファジーな経営学ではこのリスクは大きいでしょう。

多くの受験生が選択する

多くの受験生がなんとなく経営学を選択します。と言うことは、学習のペースが掴み易い(気がする)という利点があります。「気がする」と書いたのは、試験範囲がよく分からない以上、例え周りと同じペースで勉強していても、学習のペースが本当に正しいのかはよく分からないからです。でも、気がするのは精神衛生上いいことです。

勉強友達・勉強彼女が作れる・・・かも

多くの受験生が選択すると言うことは、友達と勉強の進捗について楽しいお話が出来るということです。その友達が異性なら、運命の出会いになるかも知れません。運命の出会いは冗談にしても、他の科目を選択した人は、周りに同じ科目を選択した人がおらず孤独な勉強が必要になることは確かです。なので、周りに流され易い人、根拠なくなんとなく安心したい人は経営学を選ぶべきです。

向いている人

数学が苦手な人

数学的要素を余り含まない科目なので、数学な苦手な人でも大丈夫です。

社会常識がある人

社会常識的な要素を多分に含む科目なので、社会常識がある人に向いている科目です。

周りに流され易い人

根拠なくなんとなく安心したい人

朝の情報番組の占いを信じる人

周りの受験生もこの科目を選択するので、なんとなく安心な気がします。その安心感は、例えるなら朝の情報番組で自分の星座が1位だからいいことが起きると考えるのと同じ位根拠がない安心感ですが、占いを信じている人ならその安心感でも精神安定に役立つかもしれません。

合格より運命の出会いを探している人

受験生が多いので、教室で出会いのチャンスはあるでしょう。

民法

民法とは?

民法は財産法の分野と家族法の分野に分けることが出来ますが、財産法の分野が出題されます。具体的には、物を所有するということや売買契約、損害賠償に関連した問題が出ます。家族法の側は余り出ません。
ちなみに私の年は民法大改正がある影響で選択者が少なかったです。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安450時間
私が推定する必要勉強時間の目安350時間

民法の特徴

数学不要

法律科目なのでもちろん数学不要ですね。

暗記量が非常に多い

暗記量が多いです。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に影響が出るでしょう。

試験範囲が膨大である

いくら財産法関係の典型論点しか出ないとは言っても、何せあの民法をやる訳ですから、企業法を勉強したのと同じ位の労力は必要になると考えるべきでしょう。

予備校の授業が早期から始まる

試験範囲が膨大であるため、論文式試験の1年以上前、周りのみんなが短答式を視野に各科目の基礎固めをしている頃から授業がみっちりあります。これは結構精神的に負担になると思います。

社会を生き抜く基礎知識が身に付く

友達に貸したお金が返してもらえない時、あなたならどうしますか?民法を勉強しておけば、そういう時何をしなければならないかがなんとなく分かるでしょう。そういう意味で勉強するべき科目です。

受験生が少ない

経済学・統計学と同様、民法選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

他の受験生は大穴狙いか法律科目に余程の自信がある人である

経営学に比べて勉強時間が多く先輩情報の少ない民法を選択したいと思うのはどんな人でしょうか?それは法律科目に自信があるか、申し込んだ時はやる気があったか、大穴狙いの人です。そうすると、他の受験生がそこそこ出来ると考えられるため、そこそこ勉強する必要がありそうです。

科目で大きな差が付かない

受験生が極端に少ないため、あなたの得点で母集団が歪みます。なので、科目で大きな差が付かず、出来が悪くても他の科目で挽回できるチャンスがあります。
・・・と言われてもピンと来ませんよね。
具体的に考えてみましょう。あなた以外の受験生の得点の分布が下表の通りであったとしましょう。あなたが60点を取ってしまってもあなた以外の受験生が30人の場合偏差値は40.2点で足切りになりませんが、受験生が90人の場合偏差値は39.8点で足切りに遭います。受験生が少ない科目であなたが悪い点を取ってしまうと平均点が押し下げられるので、偏差値がそこまで落ちないのです。
点数得点者の割合
50点6.7%
60点20.0%
70点46.6%
80点20.0%
90点6.7%
あなた以外の受験者数30人の場合90人の場合
あなたの偏差値40.2点39.8点
もちろん、受験者数が多いからと言ってと採点官の1人あたりの採点者数が多いとは限りませんが、概ねこの認識でいいと思います。

向いている人

数学が苦手な人

法律科目なので数学はいりませんね。

暗記が得意な人

暗記量が多いので、暗記を苦にしない人でないとつらいです。

法律科目に馴染みがある人

法律科目に馴染みがある人だと、暗記量が少しは減るかもしれません。

モチベーションがある人

周りと違う選択をする精神的な強さがある人

論文式試験より相当前、周りが財務会計論計算編の基礎固めをしている頃から勉強を始める必要がある科目なので、色んなことを思いながらでも勉強できる強さが必要です。

私生活でトラブルを抱えており、法律上の知識が必要な人

民法の知識は公認会計士試験自体に関係なく役立つ知識なので、実生活で必要ある人は選択してもいいと思います。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

経済学

経済学とは?

多くの大学の経済学部で必修科目となっているミクロ経済学とマクロ経済学が出題範囲となっているのが経済学という科目です。ミクロ経済学は企業や個人の経済活動にフォーカスするのに対し、マクロ経済学は国や世界規模の経済変動にフォーカスします。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安500時間
私が推定する必要勉強時間の目安300時間

経済学の特徴

数学の知識が必要

経済学は計算問題が多いです。微分程度の数学の知識が必要です。

暗記量がやや多い

経済学は数学的な問題も多いですが、知識を問われる問題も出ます。なので暗記するべきことがそれなりにあります。すると、論文式試験直前の暗記科目追い込みの時期に選択科目にも時間を割かなければならず、他の科目の成績に影響が出るでしょう。

試験範囲が膨大である

多くの大学で必修となっているミクロ経済学とマクロ経済学が範囲な訳ですから、試験範囲はそれなりに広いです。それなりの勉強時間が必要です。

予備校の授業が早期から始まる

試験範囲が膨大であるため、論文式試験の1年以上前、周りのみんなが短答式を視野に各科目の基礎固めをしている頃から授業がみっちりあります。これは結構精神的に負担になると思います。私の同窓生にも経済学を選択したモチベーションの高い人がいましたが、彼は一回目の短答に落ちています。効率良く勉強する自信が無いなら、経済学は選択しない方が無難です。

選択科目の中で唯一実社会で役に立たない

名前だけで判断すれば、経済学を勉強したら経済のことが分かり社会で役に立ちそうですが、そんなことはありません。経済学の教授で自己破産した人もいますし、テレビに出る経済学教授の景気動向予測や株価予測はいい加減ですね。え?経済学はそんなことを目的にしていない?そんな目的でない経済学に実用性があると言えますか?

大学の必修科目の勉強には役立つ

実社会では役立ちませんが、経済学は実用性を放棄した代わりに学問自体が体系だっているので、勉強していて楽しいと思います。また、多くの大学で必修科目になっているはずであり、大学の勉強にも役立つはずです。

受験生が少ない

民法・統計学と同様、経済学選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。 模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

向いている人

数学が得意な人

4つの選択科目の中で一番数学を使います。高校文系レベルですが、苦手な人は回避した方がいいでしょう。

モチベーションがある人

周りと違う選択をする精神的な強さがある人

民法と同じですね。論文式試験より相当前、周りが財務会計論計算編の基礎固めをしている頃から勉強を始める必要がある科目なので、色んなことを思いながらでも勉強できる強さが必要です。

実用性を重視しない人

大学の勉強に活かしたい人

経済学は社会で役立たない代わりに大学の単位取得には役立ちます。大学の勉強とのシナジーが見込める点はいい点でしょう。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

統計学

統計学とは?

データ解析やファイナンス理論によく用いる記述統計と確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎等が出題範囲となります。数学に関連ある気がしますが、そんなことはありません。

必要勉強時間

一般的に言われる必要勉強時間の目安200時間
私が推定する必要勉強時間の目安60時間

統計学の特徴

実は数学の知識が必要ない

テキストには積分記号が載っていたりして、文系の方はそれだけで敬遠すると思います。ですが、 ジャガイモの栽培法を知らなくてもカレーが作れる様に、積分記号の意味を知らなくても統計学の問題は解けます。統計学を極めるのではなく、試験でいい成績を取るだけなら数学の知識は全く要りません。

中学受験レベル(=小学生6年生レベル)の算数はある程度必要

頭の柔軟さが必要

数学の知識は全く要りませんが、算数の力、つまり頭の柔軟さはある程度必要です。中学受験経験者で、「算数」が苦手だった人は統計学を避けた方が無難でしょう。

試験範囲が極めて狭い

確率と検定が分かれば統計学は何とかなります。試験範囲はとても狭いです。

覚えることが少ない

4つの選択科目の中で一番覚えることが少なく勉強が楽だと思います。なので、その分他の科目に勉強時間を割り振り、統計学自体の出来がどうであれ、他の科目で差を付けることが可能です。

論文式試験の合格率が一番高い

選択科目別合格率(独自集計)で詳細記していますが、4つの選択科目の中で一番合格率が高いのが統計学です。12月短答式合格者でかつ統計学選択だと、実に7割の人が論文式に一発合格します。統計学が勉強負担の少ない科目である点も影響していると思われます。

統計的思考力が身に付く

あなたは宝くじや馬券を買いますか?株式投資をする時、ポートフォリオはどう組みますか?統計学を勉強すれば、統計的思考力が身に付くのでこういう判断をする時ちょっとだけ役に立ちます。

受験生が少ない

民法・経済学と同様、統計学選択者は少ないです。なので、友達と勉強の進捗について楽しいお喋りは出来ないです。 模試や答練を受けても寂しいと思います。
一方で、選択者が少ないため、全国1位が取り易いです。科目1位だと祝賀金を予備校からもらえるので、ちょっぴりお得な科目です。

他の受験生は楽をしたい人

4科目の中で一番勉強時間が少なくて済む統計学には、楽をしたい受験生が集まります。なので、他の受験生との差を意識する必要は民法や経済学程はありません。

向いている人

数学が苦手な人

統計学の問題を解くのに数学の知識は不要です。なので数学が苦手な人にもおすすめです。

中学受験経験者で「算数」が苦手ではなかった人

数学の知識は要りませんが、中学入試レベルの算数の知識は必要です。算数が苦手だった人は、例え数学が得意でも統計学を選択するべきではないでしょう。

頭が柔らかい人

管理会計論の(原価計算ではなく)管理会計側を無勉強でそれなりの点が取れる人 (=地頭がいい人)

中学受験を経験していない人の場合は、頭が柔らかいかどうか(管理会計側を無勉強でそれなりの点が取れるかどうか)で判断するといいと思います。

他の科目に勉強時間を割り振り、他の科目で差を付けたい人

統計学の必要勉強時間の短さは魅力的です。なので、選択科目は短時間の勉強でそれなりの点を取る科目と割り切り、他の科目をしっかり勉強して他の選択科目選択者に対して他の必修科目で差を付ける戦略であれば、例え算数が余り得意でなくても統計学を選ぶのはありでしょう。

楽して合格したい人

勉強負担も少なく、合格率も高い統計学なので、楽したい人にはおすすめです。

賭け事が好きな人

賭け事が好きな人は普段から確率について考えていると思いますので、統計学の考え方がすんなり頭に入ってくると思います。

お友達とお喋りしないでも勉強できる人

何せ受験生が少ないので、友達とガヤガヤ話しながらじゃないと勉強できない人には向かないです。

科目全国1位になって気持ち良くなりたい人

科目全国1位になって予備校から祝賀金をもらいたい人

受験者数が少なく1位を取り易いので狙い目です。

2016年12月10日土曜日

短答式試験後の時間の使い方

論文式試験の勉強を始めよう

短答式試験の出来に関係なく、最終的には論文式試験を突破しないといけないのです。ですから、気持ちを切り替えて論文式試験の勉強を始めましょう。

自己採点をしない様にしよう

短答式試験の自己採点をまだしていない人は、自己採点をしない様にして下さい。成績が良かったら浮わつくし、悪かったら落ち着かないしで、どっちにせよいいことは何一つなく時間の無駄です。友達から出来を聞かれたら適当に答えておいて、論文式試験の勉強に集中です。どうせ、自己採点を真面目にやったって、その自己採点結果の点を本当に取れているかは誰にも永遠に分からないんですから。

租税法は問題を解いてはテキストと法令基準集に戻るのを繰り返そう。(答えが合っていても戻って下さい。)

租税法は科目自体が合理的ではないので取っつきにくいです。問題を解いてはテキストと法令基準集に戻ることを繰り返すことで、ある時急に分かる様になります。また、法令基準集を参照することで、覚えなくてもいい点がどこかが分かります。
また、租税法は計算の順番を間違えると答えが1ずれる可能性があります。計算の順番の理解が誤っているのにたまたま正解しているだけの可能性がありますので、答えが合っていてもテキストと法令基準集を見る様にしましょう。

出来ること、やらなければならないことを順番にこなそう

短答式試験が終わると急に授業がなくなり、何を勉強していいか分からなくなるかもしれません。そういう時は出来ること、やらなければならないことから順にやりましょう。
取りあえず、短答直後には租税法と選択科目は完成していないはずです。租税法と選択科目をやっている内に答練が始まり、租税法と選択科目以外の埋めなければならない穴が分かる様になります。

2016年12月4日日曜日

古い法令基準は役に立つのか?

皆さん、短答式お疲れ様でした。2~3日は色んなことが頭をかすめてあらゆることに手がつかなくなるはずです。ですが、1週間もすれば、落ち着いて論文式試験の勉強を始めることと思います。

さて、ここで公認会計士試験の勉強に不可欠なのが法令基準集です。公認会計士試験(短答式)は法令基準集なんか読まないで突破できますが、公認会計士試験(論文式)は法令基準集が配布されるため、論文式試験の勉強のためには法令基準集が必須です。法令基準集が手元にあることのメリットは大きいです。
  • 暗記すべき所と、本番で調べれば済むところを区別できる様になる
  • 本番でより短時間で法令基準集の目的のページにたどり着ける様にする
  • 持ち込んで答練や模試を受ける際に必要
ですが、短答式試験が終わって法令基準集を手に入れようとした皆さんは慌てるはずです。
「売り切れてるじゃん!」
そうです。12月のこの時期法令基準集は売り切れています。2~3月になれば新しい法令基準集が販売になりますが、それまでの間に答練もあるし、法令基準集をどこかで手に入れなければなりません。
先輩からもらえる人はそれで構いませんが、先輩からもらえない人はネットやメルカリで検索して結構古い法令基準集を見つけることでしょう。あれは役に立つのでしょうか?

この古い法令基準集ですが、十分に役に立ちます。確かに最新の法令基準集ではないので、現行法と微妙に違う所もありますが、そういう所は見ればすぐに分かります。基本的な部分は同じなので、論文式試験の勉強をする上でディスアドバンテージにはならないでしょう。
古いとボロボロになってもいいや、と思えるため、電車の中でも気にせず読めるので、むしろ古い方がいいかも知れません。
実際、私が使っていた租税法の法令基準集は15年位前のもので税率も今とは違っていましたが、全く不都合しませんでした。そして、最終的に租税法は129位を取っています。
なので、法令基準集が手に入らなくて焦っている皆さん、古くても何でもいいので、法令基準集を手に入れましょう。

現役合格したければ、勉強し過ぎるな! サーカスの犬の罠

明日定期試験を受けるから、学校にもらった問題集の答え暗記しよう。
今度模試を受けるけれども、予備校の先生が先週妙にここ強調してたし暗記しておこう。
今度答練を受けるけれども、いい点を取るために事前に出題範囲を暗記しておこう。

ちょっと待って!!
その勉強、無駄です。というか、有害です。やらない方がマシです。

サーカスの犬

犬が足し算の問題を出されて正解の札を取ってくるサーカスを皆さんは見たことがありますか?
犬って賢いですね。足し算が出来るんですね!・・・な訳ありませんね。犬には足し算は出来ません。
では、なぜ犬は正解の札を取ってくることが出来るのでしょうか?それは、飼い主が合図を出しているからです。合図を見て正解の札を取ってくると誉められると言うことを繰り返す内に、パブロフの条件反射により正解の札を取ってくることが出来る様になるのです。

最近流行りのDeep LearningとOverfitting

今年、Alphabet社 (Google)の子会社がアルファ碁というソフトを開発してプロ棋士をコテンパンにやっつけましたね。このアルファ碁というソフトは、Deep Learning(機械学習)という機能を備えており、過去の数万に及ぶ棋譜を自動で解析して局面を評価する評価関数を自動生成し、いい手と悪い手を自分で勉強していくのだそうです。
さて、ここでアルファ碁に勉強させる過去の棋譜が全部幼稚園児の打った棋譜だったら、何が起きるでしょうか?優れた評価関数が出来るでしょうか?
機械は、与えられたインプットデータに共通する条件をじぶんで見つけ出し学習しますが、機械が正しく学習するためには、勉強するデータが普遍的なものである必要があります。そうでない場合、与えられたインプットデータにはキレイに一致しますが、新しい事象に対応出来ない学習となってしまうでしょう。
グラフ1を見て下さい。このグラフには5つの点がプロットされていますが、これを見てxとyにどういう相関があると皆さんは思いますか?多くの皆さんは、グラフ2の様な線をイメージするはずです。しかし、グラフ3の様な線を描くことも出来ます。グラフ2の線は微妙に5つのプロットからズレているのに対して、グラフ3の線は完全に5つのプロットを通っています。与えられた5つのインプットデータへの一致率はグラフ2よりグラフ3の方が高いですが、グラフ3の線はグラフ2の線と違って将来の6つめのデータを恐らく説明出来ないでしょう。
この様に、全ての事象に存在する訳ではなく、たまたま学習した範囲に存在していた共通点を、普遍的なものであると勘違いして学習してしまうことを、Overfitting (オーバーフィッティング、過剰適合、過学習)と言います。

人間のズル  意識してやる過剰適合

サーカスの犬も本来計算結果とは何の関連性もない飼い主の仕草を見て答えが分かる様になっている訳で、Overfitting (過剰適合)が起きていると言えます。
人間の場合どうでしょうか?人間は優秀だから犬とも機械とも違って、勉強した範囲にしか適用できない覚え方 (グラフ3の様な覚え方)をすることはありえないのでしょうか?
高校時代を思い出してみて下さい。期末試験の前日、学校でもらった問題集の答えを丸暗記したことはありませんか?先輩から過去問をもらって解いたことはありませんか?高校の期末試験でいい点を取ることが勉強の目的であれば、効率のいい勉強法かも知れませんが、学力をつけるためと考えるなら、この勉強法はサーカスの犬と同じ、グラフ3の勉強法になっていると言えるでしょう。
人間も過剰適合しているのです。

あなたも過剰適合している   無意識の過剰適合

「高校の期末試験対策は赤点回避のためにやむを得ずにやっただけで、公認会計士試験の勉強でそんなことするはずない。」
そう仰る人もいるでしょう。確かに公認会計士試験の勉強で意識してやる人は余りいないでしょう。
ですが、本当にあなたは過剰適合していないでしょうか?

あなたは予備校のテキストで勉強していますか?
読んでいるテキストに書いてあること、それは普遍的な真理ではなく普遍的な真理をテキストの作成者が切り取ったものです。予備校の先生が強調していた所は、本試験で重要度が高い所ではなく予備校の先生が本試験での重要度が高いと思っている所です。
答練で出てくる問題は、出題範囲の中の一部を、ある切り取り方で出題したものです。本番で同じ部分が出るとも、同じ切り取り方をされるとも限らないのに、何度も答練を繰り返し解いていませんか?
明日、模試だからって、先週先生が授業中に繰り返していた部分を勉強していませんか?そうすると模試の結果は良くなるでしょうが、その勉強の効果は本試験までもちますか?
つまり、私達の勉強の対象は常に偏っており、そのことを意識しないで勉強することには問題があるのです。

過剰適合の問題点

「過剰適合かもしれないけれども、勉強しないよりはマシなんじゃないの?」
そう思う人もいるでしょう。その考え方が間違っているとは言いません。ですが、合っているとは言えません。
なぜなら、勉強して過剰適合が起きてしまうと大きな問題が生じるからです。

模試でいい成績を取ってしまう。

自分の課題に気付けない。

試験や模試で点が悪いと焦ります。問題を間違えることで、自分の理解が不十分な点をしっかり把握できます。しかし、いい点を取ってしまうと、こういう効果が見込めないのです。実力でいい点を取ったならそれでも構いませんが、ドーピングしていい成績を取ってしまうことには弊害があると言えるでしょう。

勉強が足りている気になる。

いい点を取ってしまうと実力がついていないのに勉強が足りている気になってしまいます。長時間勉強机に向かっており御本人が勉強したつもりになっているだけに、これはタチが悪いです。

頑張りがきかなくなる

勉強はつらいものです。そのつらい勉強時間はなるべく最短にしたい、と誰もが思います。無駄で効率の悪い勉強に時間を割いてしまうと、後で効率のいい勉強をする忍耐力が残らない可能性があります。それなら、その時間遊んでリフレッシュしておいて、後で集中して勉強した方がいいです。

知らない問題に対処出来なくなる

あらかじめ勉強してある問題を解くことを繰り返していると、普段と違う出題の仕方をされた時、あるいは知らないことが聞かれた時、焦ってしまいます。また、こういう知らない問題に対処する訓練を積んでいないため、知っていることを駆使して知らない問題に答えると言うことが出来なくなるのです。例えば、2016年論文式試験の管理会計論第2問の第1問で実は簡単だけど予備校では見たことがない問題が出題されました。過剰適合の弊害でこれが答えられなかった受験生は多かったでしょう。ですが、私は過剰適合していないのでこの問題を容易く正解し、管理会計論で偏差値90点を確保することに成功したのです。

アクセスや答練の点が悪くても、模試や本番でいい点を取れる人になるには?

人間の学習対象が偏っている以上、人間は無意識の内に過剰適合してしまいます。
この対策として以下の様な方法をお勧めします。

目的意識を持って勉強する

2日後の試験でいい点を取ることは勉強の目的ではないと理解しているから、2日後の試験のためだけの勉強はやらないのです。自分の目的を達成するためだけの勉強をするから、総勉強時間が極端に短くても上位合格出来るのです。

考えながら勉強する (一般化して理解する)

自分が勉強していることをなるべく一般化させて理解する様にして下さい。
勉強対象が偏っていても、一般化させようと思いながら勉強していれば、その偏りを補うことが出来ます。

色んな勉強をする

勉強の情報源を多様化して下さい。普段と違う先生に質問してみて下さい。他の予備校のテキストを読んでみて下さい。新聞を読んでみて下さい。勉強机に向かうだけが勉強ではありません。色んな勉強をして下さい。そうすることで、それぞれの経験同士が補い合い、深みのある勉強をすることが出来ます。

他の予備校の模試を受ける

他の予備校の模試は普段教わっていない先生が作っているので、自分の実力を客観的に評価する役に立ちます。刺激になります。
まあ、私は受けませんでしたが・・・

私の様に、アクセスや答練は低空飛行だけど、模試や本番ではいい点が取れる人は、ここに書いた様なことを意識して勉強しています。

長時間勉強机に座ることには何の価値もない

皆さんの目的は何でしょうか?定期試験でいい成績を取ることですか?模試でいい成績を取ることですか?本当の目的は何でしょうか?それを常に意識して勉強に励んで下さい。そうすれば、勉強机に長時間座ることには何の価値もないと分かるでしょう。
現役合格したいなら、そんな勉強しないで下さい。

まとめ

目的意識を持って、考えながら勉強して下さい。色んな情報源から情報を取り入れて下さい。そうすれば、勉強時間を劇的に減らすことが出来るはずです。