「ややこしすぎるし、合理的じゃない制度だらけなんじゃないか?」
そうです。会計学が、投資家に対する情報提供機能という明確な目的をもって構築された学問なのに対し、租税法は自民党を代表とする政治家が有権者に媚を売るという不純な目的で構築されているため、ご都合主義で気まぐれな規定ばかりとなるのです。そのため、科目としてのポリシーがなく、勉強し始めて最初混乱するはずです。
- 四捨五入?切捨?切上?端数処理規定無し?
- 小数点以下何位まで計算?
- 四則演算の計算の順番は?
- みなし譲渡?低額譲渡?
- 有権者有利?有権者不利?
では、租税法の特徴と攻略法を見てみましょう。
租税法の特徴
1 法令基準集が配られる
会計学の法令基準集と異なり役に立つ法令基準集です。上手に使えば覚えることを減らせます。2 制度が多くて複雑だが、それぞれの制度自体は単純
制度が多いので混乱しますが、それぞれの制度自体は複雑な制度ではありません。テキストも論点ごとに区切れば決して分厚いものではないと思います。3 論点が独立している
租税法はそれぞれの論点が独立しています。4 試験時間が足りない
例えば私の場合ですが、答練や模試で時間が足りませんでした。本番も時間が無くて最後の消費税の問題丸ごと解けませんでしたが、それでも本番136位でした。全部の問題を解かなくてもいい成績が取れます。5 多くの受験生が短答式試験後に勉強を始める
と言うことは、みんな勉強が足りていない、と言うことです。周りのみんなの勉強時間が少ないと言うことは、論文式試験は相対評価なのでちょっと勉強するだけで成績がはねあがると言うことです。こう言うと、アクセスで周りみんな点数がいいんですけど・・・と不安に思うかもしれません。ですが、安心して下さい。確かに私もアクセスの点や順位がずっと悪かったですが、模試や本番ではいい成績を取っています。その実体験から断言します。他の受験生はアクセスでいい点を取る勉強しかしておらず、本番でいい点を取る勉強はしていません。
6 毎年制度が変わる
最近も2017年都議選対策で配偶者控除の金額を変えるとニュースになっていますが、この様に自民党の気まぐれで毎年税制は変わります。租税法の勉強法
1 問題集を解く。答えが合っていてもテキストと法令基準集に戻る
2 問題集を解いて答えが違ったら自分が解く時に書いた数式までさかのぼってチェックしてなぜ答えが違うかを確認する。
個別の制度自体は単純なため、テキストを読んでいると理解できてしまいます。でも、実はその理解は身に付いていません。問題集を解き解法を見比べることで、理解が完璧でない点をあぶり出すことが出来ます。租税法は端数処理と計算の順番で答えが1ズレることがありえますので、答えが今回たまたま合っていても次回も正解できるとは限りません。解法を見比べるとこの点も改善できるでしょう。それに、問題集に載っている論点は重要論点です。その箇所をテキストに戻って確認することで、どの制度が重要かがなんとなく分かる様になります。
また、テキストに戻る際に法令基準集を確認することで、覚えなければならないことと、試験当日参照出来れば十分なことの区別が出来る様になり、勉強の効率が上がります。
3 分かり易い個別論点から勉強する
租税法はそれぞれの論点が独立しています。なので、個別論点ごとの勉強をすることもできますし、本試験も個別論点ごとに得点が可能です。それぞれの論点自体は単純なので、論点ごとの勉強なら負担にならないでしょう。4 勉強段階から論点を取捨選択する
試験時間が足りないと言うことは、別の言い方をすれば、どうせ全部の問題を解けないんだから論点を勉強の段階で取捨選択することが出来ると言うことです。(ただし、論点の取捨選択は少なくとも春先まではしない様にして下さい。取捨選択してしまうと、科目の底に流れるものを感じとることが出来なくなってしまうので。)
5 勉強していて論点が意味不明でも諦めない
租税法は独特なので最初頭に入ってきませんが、論点が意味不明でも諦めずに勉強していると、ある時急に分かる様になります。多くの受験生が短答式試験後に勉強を始め勉強が足りていない中で、この領域までたどり着ければ大きな差を付けることが出来るでしょう。